来秋のドラフトの超目玉、創価大の田中正義投手(3年=創価)がプロを圧倒した。21日に東京・八王子市内の創価大グラウンドで、日本ハム2軍との「プロ・大学交流試合」に先発。毎回三振の計7三振の力投で5回5安打1失点にまとめた。日本ハム栗山英樹監督(54)ら首脳陣、スカウトも詰めかけた舞台。球団のスピードガンで最速153キロが計測されるなど、圧巻の姿を見せた。26日には大学日本代表の一員として、早実・清宮幸太郎内野手(1年)らU18日本代表との壮行試合に臨む。

 魅惑の三振ショーは、この日も歓声を巻き起こした。田中が目を見開き、ほえた。4回。上がり続けた球速はピークに達した。日本ハム谷口をフルカウントの末、最後は直球152キロで空振り三振。1軍経験豊富なスラッガーを、2打席連続三振に切った瞬間だった。跳ね上がるように右足を上げ、興奮をあらわにした。「ちゃんと指にかかったボールがコースにいけば、ある程度打ち取れる」。大きな手応えをかみしめた。

 剛腕で、圧巻の舞台が開けた。1回。1番・宇佐美を151キロで空振り三振に仕留めると、早くも観衆は沸き上がった。その後も150キロ台を連発。2回には一部、関係者席からどよめきが起こった。1軍の主力級の岡へ投じた4球目はファウル。創価大のスピードガンでは147キロも球団のスピードガンでは、この日最速153キロが計測されていた。「ファウルや空振りで速く感じてくれたんだなと思った」。6月のプロ選抜戦では7者連続三振を含む4回8奪三振で完全投球。この日は5回まで毎回三振の計7三振で圧倒した。

 異様なムードの中、存分に魅力を発揮した。バックネット裏。マウンドの田中から見て左側で、日本ハム栗山監督が終始笑顔で熱視線を送り続けていた。東京ドームでのナイター戦を前に、異例の視察。予定の出発時間を過ぎ、迎えの車が到着しても席を離れようとしなかった。「明日(プロで)先発してもおかしくないレベル。剛だと思っていたけど、しなやかさも持っている」。心をひきつけられた1人だった。

 弾みをつけた。次なる舞台は26日のU18日本代表との壮行試合(甲子園)。大学日本代表の注目株の1人として、早実・清宮ら注目高校生との一戦に臨む。「(清宮は)1年生のヘッドスピードじゃない。しっかり打ち取れたら」。価値ある収穫を得た。舞台はさらに大きくなって、田中を待っている。【田中彩友美】

 ◆田中正義(たなか・せいぎ)1994年(平6)7月19日、横浜市生まれ。小学1年から投手として野球を始める。創価高に投手として入学したが1年秋に外野手転向。3年夏は西東京大会4強。大学で投手に再転向。昨年の大学選手権で最速154キロをマークし、注目を集める。今春の東京新大学リーグ戦は6勝0敗、防御率0・40で最多勝と最優秀防御率。家族は両親、兄、姉、妹。186センチ、89キロ。右投げ右打ち。

<田中の快投>

 ◆全国デビュー 大学2年生だった14年の大学選手権1回戦。佛教大戦で自己最速の154キロをマークし、4安打9奪三振で無四球完封。巨人山下スカウト部長は「コンスタントに150キロ以上出る。今年のドラフトでも1位候補になる」と絶賛した。

 ◆若手プロぶった切り 15年6月20日のユニバーシアード壮行試合で大学日本代表として若手中心のNPB選抜と対戦。7者連続奪三振を含む4回8三振で無安打無失点。楽天立花社長は「来年絶対取るよ! スカウト陣も満場一致だね。名前も(ヤンキース田中と同じ)田中だし、絶対行く!」とドラフト1年半前に早くも獲得宣言。