連盟結成90周年のメモリアルリーグ戦は、劇的サヨナラ弾で幕開けした。慶大は、ドラフト上位候補の「ヨシノブ2世」、谷田成吾外野手(4年=慶応)が、1点を追う9回に逆転サヨナラ3ランを放ち、立大に先勝した。谷田は今春打率1割4分6厘、1本塁打と絶不調だったが復活。

 スターの薫りが漂うイケメンドラフト候補が、高々と右手を突き上げた。1点を追う9回裏無死一、二塁。4番谷田が128キロのスライダーを振り抜いた。「完璧でした」と、右翼席中段にたたき込む、公式戦初の逆転サヨナラ本塁打。苦労を知る仲間から手荒い祝福を受けた。

 巨人高橋由と同じ背番号「24」を背負い、「ヨシノブ2世」と称されるが、春は打率1割台と苦しんだ。高校通算74本塁打のスラッガーにとって、初めて味わう挫折だった。「全部打撃を変えて、一からつくり直しました」。夏場は、タイミングの取り方やフォームから見つめ直した。始動を早めることで「早めに準備して、長くボールを見る意識」に取り組んだ。「極限まで追い込んだ」練習後は、ウエートトレーニングで体重3キロ増の89キロにビルドアップした。

 第4打席は左中間二塁打を放つなど、広角に打ち分ける持ち味を発揮。8月5日には、前監督の竹内秀夫氏(享年60)が闘病の末に死去した。葬儀に参列した谷田は「恩返しがしたかった」と言った。試合を決める4番の1発を、天国の竹内前監督も待っていたはずだ。【前田祐輔】

 ◆谷田成吾(やだ・せいご)1993年(平5)5月25日、埼玉・川口市生まれ。川口リトルで野球を始め中1で世界大会準優勝。東練馬シニアでは中2夏に全国4強。慶応では1年春から4番で、3年時に高校日本代表としてAAAアジア選手権制覇。慶大でも2年連続で大学日本代表に選出。50メートル6秒2。183センチ、89キロ。右投げ左打ち。