オリックス谷佳知外野手(42)が16日、京セラドーム大阪で現役引退会見を行った。2000安打にも73本と迫っていたが限界を悟り、8月末に潔く決断。球団は来季のコーチとしてすでに入閣打診していることも判明した。本拠地最終戦の10月3日のソフトバンク戦(京セラドーム大阪)でスタメン出場し花道を飾る予定だ。

 やはり最後は最愛の人に相談した。「19年もやらせてもらったし、もうそろそろやめようと思う」。谷は8月末の引退覚悟を、女子柔道五輪金メダリストでもある亮子夫人(40=参議院議員)に打ち明けた。その返事は夫を思うヤラワちゃんらしく、温かいものだった。

 「パパの思い通りにやればいいよ」-。右肩痛など近年は故障に泣かされ続け、悟った体力の限界。2000安打まで残り73本だったが、妻の言葉がすべての決断を後押ししてくれた。

 3つの思い出を挙げた。97年5月のロッテ戦で、薮田から放った左翼線適時二塁打のプロ初安打。オールプロで挑みながら銅メダルに終わった04年アテネ五輪。巨人時代の10年4月、同い年で急逝した木村拓也コーチの追悼試合の広島戦で放った逆転満塁本塁打…。そして一番の誇りに「長打を打てる選手ではなかったので、二塁打がモチベーションだった」と、今なお日本記録の年間最多二塁打(01年、52本)を挙げた。

 10月3日の本拠地最終戦では盛大な引退セレモニーが用意される。また、一時代を築いた功労者に、球団はすでに“来季入閣”を要請していた。瀬戸山本部長は「コーチなど新しいステップを用意させていただきたい」と説明。谷は感謝しつつ、引退決断から間もないことで返事を保留中。だがいずれは「野球に携わる仕事をしていくと思う。(球界に)恩返しをしていきたい」と、指導者としての第2の野球人生に思いをはせた。【松井清員】

 ◆谷佳知(たに・よしとも)1973年(昭48)2月9日、大阪府生まれ。尽誠学園(香川)で甲子園出場。大商大-三菱自動車岡崎。96年ドラフト2位でオリックス入団。06年オフにトレードで巨人に移籍。14年からオリックスに復帰した。173センチ、77キロ、右投げ右打ち。