さあ、本拠地で美酒に浸りましょう!! ヤクルトが14安打を浴びせて中日に快勝し、2位巨人が阪神に敗れたため、優勝マジックを「1」にした。今日29日の広島戦(神宮)に引き分け以上で、14年ぶりのセ・リーグ優勝が決まる。10月1日の阪神戦までに優勝を決めれば、そのまま神宮球場のグラウンド上で、歓喜のビールかけになだれ込む予定。ファンとともに、最高の時を味わう。

 本拠地の声援を全身で受け止めた。真中満監督(44)は、右翼へ向けて歩き出した。帽子を持つ左手を高々と上げ、目を細めた。マジック1で優勝に王手をかけて「うれしいですね。まだ決まっているわけではないですが、もう1つ勝てるように頑張ります」と、本拠地胴上げに頭を切り替えた。

 主役は1、2番コンビ。9月中旬から1番に固定され始めた上田が、当たりまくった。今季1号2ランを含む5打数4安打2打点。「死球でも四球でも何でもいいから塁に出ないといけない」と必死に動いた。後輩の活躍に、2番川端も触発された。「前ですごく打っているので、負けたくなかった」と、3点リードの8回に右翼へ8号ソロ。ダメ押しとなる1発で勝利を決定付けた。

 真中監督の目に狂いはなかった。「うちの打線は、2番からクリーンアップ。1番打者が出て、2番にバントだけをさせることはつまらない」と、長打も打てる川端を開幕戦から2番に据えた。きっかけは首脳陣との雑談から。1番や3番案もあったが、伊藤投手コーチの「(2番川端は)まずバントはないと思いますけど、長打を警戒しないといけない。嫌ですね」との助言も受け、7月20日の中日戦から固定した。

 この日も打線全体に攻撃のリズムが生まれ、連勝を飾った。あと4試合で引き分けが1試合あれば、リーグ優勝が決まる。歓喜のビールかけは、91年広島以来となる本拠地のグラウンドで行う。外野にブルーシートを敷き、至福の時間をファンと分かち合う。さらに真中監督は「ミレッジ、谷内、川崎とか1軍に登録されたメンバーを何人か呼ぶ」と、現在2軍で調整中の選手を神宮球場へ招集することを明かした。就任1年目でのVが、目の前に迫ってきた。【栗田尚樹】

 ◆グラウンドでビールかけ 91年10月13日、5年ぶりのリーグ優勝を決めた広島は、広島市民球場のグラウンドに30メートル大のシートを敷き、3万2000人の観客が見守る前でビールかけを行った。小早川は一塁側スタンドのファンに向けてビールをかけ、野村が右翼席のファンに向かって「万歳」の音頭を取るなど大はしゃぎ。用意された800本のビールは10分ほどでなくなり、川口、金石らはぬれたユニホームやアンダーシャツをスタンドに投げ入れるサービスぶりだった。

 ▼ヤクルトがマジックを1に減らし、今日の広島戦に○か△で01年以来の優勝が決まる。前回は横浜スタジアムで優勝が決まり、神宮球場で胴上げならば97年以来。01年は10月1日にM1としてから●●△と3試合足踏みし、4試合目の6日横浜戦で優勝を決めたが、今回はどうか。