大商大が京産大に逆転勝ちして勝ち点4を挙げ、2季連続9度目(新リーグ発足後)の優勝を決めた。今秋ドラフト1位候補のエース岡田明丈(4年=大商大高)が1失点完投で今季5勝目を挙げ、昨秋からの連勝を12に伸ばした。打線は1点を追う8回2死二塁で日下部光内野手(2年=福知山成美)が同点打を放ち、代打・坂田一平内野手(同=広陵)が決勝打。2年ぶりの明治神宮野球大会出場を目指し、関西地区大学野球選手権(31日開幕)に臨む。

 待ち望んだ優勝風景が、1コマ遅れて始まった。9回2死二塁で京産大の最後の打者は二ゴロ。両腕を広げ、岡田に駆け寄ろうとした捕手の太田光(1年=広陵)は、ぼうぜん。抱き合うはずのエースはアウトを見届け、整列しようとマウンドを駆け下りていた。

 「太田に『マウンド!』と言われて気がついて。勝って試合を締めくくれたこと、ゲームセットに集中していて」。1歩遅れて歓喜の輪に加わり、岡田は照れくさそうに笑った。

 勝利へのこの意識があればこそだ。昨秋から無傷の12連勝。「投げる試合は全部勝つつもりで投げてきました」。大商大を春秋連覇に導いた。「ゲームの中で、やってはいけないこととやらなければいけないことをはっきりさせる。イニングの先頭打者に四球は絶対に出さない。安打を打たれるよりも流れを悪くするから。そして先制点は与えない。経験を積む中で決めごとにしてきました」。

 大商大出身で現中日の金子の在学時に「投球時と同じフォーム、力加減で投げること」とキャッチボールの大事さを教わった。そして今、「プロでも打てないコースに投げられる」(日本ハム芝草スカウト)と絶賛される制球力を身につけた。秋はフォーク取得でさらに投球の幅を広げた。5回2死満塁で相手4番を空振り三振に仕留めた。決め球はフォークだった。

 この日も阪神など4球団が視察。リーグ優勝を果たし「次のステージでも勝てる投手を目指します」と力を込めた。広島前田らのように、チームが命運を託す。そんな器の投手になる。【堀まどか】

 ◆岡田明丈(おかだ・あきたけ)1993年(平5)10月18日生まれ。大泉第二中(東京)の軟式野球部で三塁手として野球を始める。大商大高1年から投手に。3年夏は大阪大会8強。大学では1年春に初先発。今春リーグ戦で31イニング連続無失点を記録。6月の全日本大学選手権8強。リーグ通算14勝3敗。最速153キロ。185センチ、82キロ。右投げ左打ち。