繊細かつ、大胆なドラフト上位候補の早大・茂木栄五郎内野手(4年=桐蔭学園)が評価を上げている。

 東京6大学リーグ屈指の左の好打者は、物腰が柔らかく常に謙虚。右翼席へライナーでぶち込もうが、逆方向へどでかい1発を放とうが、「フライかと思いました…」と決まって苦笑いする。「いつも目覚ましが鳴る前に目が覚めちゃうんです」という心配性は、常に最悪の想定をしながらゲームに臨んでいるという。

 打席ではそんな気配はまったく感じられない。威風堂々、気合を前面に押し出してフルスイングする。1年春にベストナインを獲得し、3季ぶりのリーグ優勝と5年ぶり日本一の原動力となった。2年秋こそ体調不良で1試合のみの出場となったが、3年秋に5割1分4厘という驚異的な打率で初の首位打者を獲得。今春の全日本大学選手権でもMVPに選ばれ、あらためて存在感を見せつけた。

 首位打者をとっても、現状に満足することはなかった。ラストシーズンを迎える前、バッティングを1から見直した。「上の世界でやるなら、もっと上のレベルでできるようにならないといけない。もっと強いスイングで遠くに飛ばさないと、と思いました」。タイミングの取り方は変えず、バットの使い方、ボールのとらえ方を変えた。打てなくても自分の形をつかむまで、バットを振り続け「バックスピンをかけて飛ばすコツが分かりました」。3年までは通算3本だった本塁打は、今年だけで7本出ている。

 逆方向へ鋭い打球を飛ばせる打撃センスは魅力。大学生の内野手としてNO・1の評価を受け、現在11球団から調査書が届いている。「12球団、どの順位でも必要としてくださる球団があればどこでもいきたいです」。探求心と向上心は人一倍ある。プロ入りすれば、大きな仕事をやってのけそうだ。【和田美保】