ドラフト上位候補の実力を見せつけた。東洋大の最速148キロ右腕・原樹理投手(4年=東洋大姫路)が、阪神、楽天などのスカウトが見守る中で3安打9奪三振完封。今季6勝目で優勝を決めて1部、2部入れ替え戦(11月7日~、対駒大)に導き、22日のドラフト指名を待つ。

 原が、6回4失点と打ち込まれた17日の1回戦とは別人のような安定感を披露した。直球は140キロ台前半ながら、シュートや縦横のスライダーなど多彩な変化球で圧倒。1回2死からは「狙っていった」と4者連続三振を奪った。三塁を踏ませず、107球で今季3度目の完封勝利に「前回速い球を打たれた反省を生かして、低めに丁寧に投げられた」とうなずいた。

 投げて、投げて、プロの評価を上げた。今春は10試合で4完封を含む8勝で防御率0・69をマークした。秋も14試合中11試合に登板して6勝し、防御率はリーグトップの1・44。「投げ込みでも150球を超えてからが楽しいし、連投でも何とも思わない」と涼しい顔で言う。17日もKOされた直後にブルペンに直行。投げ込んでフォームを修正した成果を披露した。阪神は担当外のスカウトも視察に訪れるなど、複数球団が上位候補にリストアップ。高橋昭雄監督(67)も「やっぱり、投げるほど良くなる。これで22日を楽しみに待てる」と目を細めた。

 最大の武器を手に入れ、大きく飛躍した。右肘痛に悩まされていた2年春に「腕をひねるスライダーとかが投げられなかった」とシュートの習得に取り組んだ。同年秋にクリーニング手術し、ロッテ涌井やオリックス西を参考に新球を磨いた。今年8月には巨人の2軍相手に8回まで無安打投球。「プロの打者にも通用する」と自信を深めた。

 高校時代も3年夏の甲子園で8強に導き、ドラフト候補と言われたが「プロで伸びるかもしれないけど、自分の投球スタイルを持っていなかった」とプロ志望届は出さなかった。「まだ実感はないけど、やることはやってきた」というタフネス右腕が、運命の日を待つ。【鹿野雄太】

 ◆原樹理(はら・じゅり)1993年 (平5)7月19日、兵庫・加古川市生まれ。小1で野球を始め中部中で軟式県3位。東洋大姫路では1年夏からベンチ入り。3年夏エースで甲子園8強。東洋大では1年春からリーグ戦出場。4年春は10試合で8勝1敗、防御率0・69で2部最優秀投手。最速148キロ。178センチ、70キロ。右投げ右打ち。