俺より目立て-。阪神金本知憲監督(47)が選手に「1面ジャック指令」を出した。27日、金本監督の背番号が現役時代と同じ「6」になると正式発表された。指揮官は裏に隠された意図を「監督が一番目立っていたらダメ」と明かした。4番としてチームを優勝に導いた「鉄人」「アニキ」より目立つのは至難の業だが、それこそ強いチームの象徴だという。猛虎改革の第1歩は選手の金本超えだ。

 金本監督が理想のチームを語った。大阪市内の毎日放送で「上泉雄一のええなぁ!」「いっしょにええなぁ みんなでホームイン!」に出演後、自身の背番号が現役時代と同じ「6」と発表されたことを受け、秘めたる思いを明かした。

 「もちろん思い入れもあるしね。遠慮はしてたけど。何ていうのかな。永久欠番でもないし。ちょうどいいかなと思って、これで」

 話題性もインパクト抜群の1桁背番号については遠慮もあったという。ただ着けると決めた後に「ちょうどいい」とはどういうことか…。指揮官の狙いは意外なところにあった。

 「(自身の引退スピーチで、前DeNA監督)中畑さんに言ったようにね。監督が一番目立っていたらダメだと。6番でちょっと目立つかもしれないけど、キャンプからシーズンを通して、だれが監督だったっけ? というくらいね。選手が毎日、ボコボコ、いろいろな話題を振りまいて(スポーツ紙の)1面いってくれないと。そういう意味も込めての6番。本当にそれが理想だね。だれが監督だったっけ? というのが理想だと思うよ」

 11月から始まる秋季キャンプから猛虎の話題は背番号「6」を背負って、猛虎改革に乗り出す金本新監督一色になることが予想される。ただ、本当に強くなるためには、自身の話題など吹き飛ぶくらい選手が目立たないとダメだという。

 「DeNAは(今季)春先強かったけど、その時は中畑さん語録なんてあまり出なかったでしょう。逆に負けてた時は中畑さん語録とか、いっぱい出ていたでしょう」

 監督だけが目立っていては、チームが停滞している証拠。世界の鉄人、アニキとして知名度抜群の自分を追い抜くほどの強打者、スター出現を待ち望んでいるのだ。

 「(チームは)フラットな状態になっている。1軍も、2軍もないからね。育成も(支配下も)まったく関係ない。投手はまだ見れていないんだけど。また、明日集合かな。全員。ただ、フラットすぎてもいけんからね。多少の情報はないと。情報を聞いた上で、あくまで全員にチャンスがあるんだということ」

 自分ではなく、選手が主役に。スターへの門戸はすべての選手に開かれているという。アニキから1面を奪う男の出現が、猛虎改革の成否を占うことになりそうだ。【鈴木忠平】