ヤクルト1位の東洋大(2部1位)原樹理投手(4年=東洋大姫路)が涙の完投で駒大(1部6位)を破り、12年秋以来7季ぶりの1部復帰を果たした。6回1死まで無安打投球で4安打7四死球1失点。2度の先発と救援で3試合連続登板した「鉄腕」が、1回戦で投げ合ったDeNA1位の駒大・今永昇太投手(4年=北筑)に最終戦で雪辱し、快勝した。駒大は10年秋以来11季ぶりの2部降格となった。

 ラストバッターを遊ゴロに打ち取った原は、帽子のつばに右手を当て、顔を隠した。「ほっとしたというか。終わったんだなという気持ちで。肩の荷が下りました」。涙が止まらず、勝ったのにずっと下を向いていた。自身1年の秋以来、苦労の末に勝ち取った7季ぶりの1部昇格の味をかみしめた。

 最終戦の朝、登板を志願した。1回戦に続く駒大のドラフト1位、今永との投げ合い。もう、負けることは許されなかった。「この1年間、チームのため(高橋)監督さんのため、後輩を1部でやらせてあげたくてその一心でやってきた」。6回1死まで無安打投球。この回に初安打を許し3連打で1点を献上したが、終始強気の内角攻めを貫き4安打1失点。完投で今永にリベンジした。

 先発、救援、先発。シーズン同様の鉄腕ぶりを見せ、3試合で285球を投げた。「最後は体の感覚が分からなかった」。4年間、高橋監督のゲキに応え、投げて、投げて、スタミナと肩を作った。来春から後輩がプレーする神宮球場を自身も主戦場にする。「後輩もここで頑張る。自分も負けないでここでしっかり投げられるようにしたい」。右腕は心地良い痛みを感じながら、思いをはせた。【和田美保】