阪神で07年に新人王を獲得し、前楽天の上園啓史投手(31)が今季限りで現役引退する意思を固めていることが20日、分かった。12月下旬からオーストラリアのウインターリーグに参戦し、プロ野球選手として最後のチャレンジに臨む。

 「気持ちはやりたいけど、現実はそんなに甘くない。今年はほとんどプレーできていない。ケガしていたし、復帰後も思うような投球をできなかった」。阪神から楽天に移籍して、今季が4シーズン目。開幕前に負った左ふくらはぎ肉離れが尾を引き、長期離脱。力量を発揮できぬまま戦力外通告を受けていた。

 11月にはトライアウトに参加したが朗報は届かず、引き際を悟った。その一方で、志半ばでユニホームを脱げない思いが強く残る。野球人生のけじめとして、オーストラリアでプレーすることを決めた。

 ルーキーだった07年、阪神で8勝を挙げ、新人王に輝いた。クライマックスシリーズで先発に抜てきされたのが思い出だ。「岡田監督に使っていただき、勝たせてくれたJFKや野手の方、すべての皆さんに感謝しています」。2年目以降は伸び悩んだが、阪神の球団史に名を刻んだ。最後は納得いくまで勝負する。

 ◆上園啓史(うえぞの・けいじ)1984年(昭59)6月30日、福岡市生まれ。東福岡-武蔵大を経て06年大社ドラフト3巡目で阪神入団。1年目の07年に登板し8勝5敗で新人王。11年オフ、松崎とのトレードで楽天移籍。4年間で15試合登板も移籍後は未勝利に終わった。184センチ、84キロ。右投げ右打ち。