楽天が24日、「超大型」新外国人との契約合意を発表した。メキシコ出身のジャフェット・アマダー内野手(28)は、体重130キロの前ソフトバンク李大浩を超え、NPB史上最重量となる135キロの長距離砲。今季メキシカンリーグで41本塁打と117打点の2冠に輝き、MVPも獲得した。単年契約で年俸3000万円(推定)、背番号「42」。愛称「ギガンテ(スペイン語で巨人)」が、4番候補不在だった楽天の救世主になる。

 ギリシャ神話の巨人族(ギガンテス)にたとえられる右の大砲が、楽天の長打力不足を解消する。梨田監督が「1発で流れを変えられる選手がほしい」と望んだ結果が、193センチ、135キロのアマダー獲得だった。メキシカンリーグの登録は310ポンド(約141キロ)で、楽天の発表は大相撲の横綱日馬富士と同じ体重だった。NPB史上最重量の大物助っ人は、球団を通じ「私の目標は東北・仙台にもう1度チャンピオンフラッグをもたらすこと。そのために全力でプレーします」と力強く決意表明した。

 メジャー経験はなくとも、規格外のパワーで4番候補の筆頭に名を連ねる。一塁を守れるが、一塁にはチームの要、銀次がいるだけにDHでの起用が濃厚。関係者によれば、梨田監督は「僕が島根の浜田市出身だから、アマダーとハマダーだね。李大浩より足は遅いようだけど、長打力に期待している。あとは日本でどれだけ打てるか」と、実際に打撃を確認した上で主軸を託す構想だという。安部井チーム統括本部長も「チームが求めていた選手です」と期待を隠さなかった。

 今季の楽天はリーグワーストタイの85本塁打と長打力不足に苦しみ、463得点、チーム打率の2割4分1厘は両リーグワーストを記録した。オフの補強は得点力アップを最優先。勝負強く打点を稼げる今江をロッテからFAで獲得し、長打のある広島栗原のテスト入団を決め、待望の大砲候補アマダーも手中に収めた。外国人はリズ、ブリガムの両投手に続く3人目の獲得で在籍は6人目。支配下登録人数も67人となり、補強は今回で一区切りがついた。2年連続最下位からの脱出へ。梨田楽天が着々と歩を進める。【松本岳志】

 ◆ジャフェット・アマダー 1987年1月19日生まれ。メキシコ出身。07年プロデビュー以降、メジャー経験はなく、主にメキシカンリーグ(大リーグ傘下3Aに相当)でプレー。今季は打率3割4分6厘、リーグMVP。193センチ、135キロ。右投げ右打ち。

 ◆最重量選手 プロ野球界で歴代最重量は李大浩(ソフトバンク)の130キロ。122キロのエルドレッド(広島)121キロのメッセンジャー(阪神)120キロの09年日本ハムに在籍したヒメネスと続く。非公式には11年巨人のアルバラデホが126キロ(球団発表は118キロ)。日本人では中田亮二(中日)が最高で115キロ、井上晴哉(ロッテ)が114キロ。後にジャイアント馬場となる馬場正平(巨人)は90キロ。香川伸行は96キロで登録されたが、引退後に「最高130キロだった」と告白した。前楽天監督の大久保博元は現役時代108キロ。「おかわり君」こと中村剛也(西武)は102キロ。