球界の世紀末覇者になる! オリックスの新人12選手(育成2選手含む)が9日、神戸市内の合宿所に入寮した。ドラフト10位の杉本裕太郎外野手(24=JR西日本)は、人気漫画「北斗の拳」の大ファン。好きなキャラクターであるラオウの名セリフ「我が生涯に一片の悔いなし!」を座右の銘に、プロの門をたたいた。

 入寮した杉本は、期待に大きな胸を膨らませていた。新人12人の中で最長身190センチ、88キロの堂々たる偉丈夫。14畳の部屋が手狭にも感じられる立ち姿は、まさにラオウのようだった。

 「北斗の拳もプロ野球も同じような世界。たくさんの強敵に勝っていけるようにしたい。あ、強敵と書いて『とも』と読みます」

 これから始まるチームメートとのポジション争い、そして他球団との戦い。球界は北斗の拳に例えれば修羅の国とも言える。杉本は家から持参したカップにラオウの有名なせりふ「我が生涯に一片の悔いなし」を貼り付けた。プロ人生に悔いを残さぬためだ。

 ラオウが好きな理由は「悪役だけど、勢いがあるし、あれくらい強い男になりたいから」。青学大時代は学校近くのラーメン店にあったコミックス全巻を何度も通して読んだ。「ラーメンを食べに行くというより、北斗の拳を読みに行っていた」と振り返る。

 JR西日本では輸送課で働いた。「本社が大阪にあるので、観客動員に貢献できるようにしたい」とアピール。北斗の拳でラオウは主人公ケンシロウとの激闘に敗れ、「我が生涯に-」と言い残して大往生を遂げた。だが杉本は「ラオウのように昇天しないよう頑張ります」と誓った。将来はトリプルスリーが目標という長距離砲。球界にも“ラオウ伝説”を打ちたてるつもりだ。【大池和幸】