中日は15日、昨季DeNAを戦力外になった多村仁志外野手(38)と育成選手契約を結んだ。推定年俸300万円で背番号215。同じように、育成から救世主になった中村紀洋(前DeNA)のような成功劇を期待する。

 昨年末、去就が決まらない多村に、落合GMが連絡して名古屋市内で対面した。「思いを伝えてくれ」「野球がしたいです」とのやりとりがあったという。GMの報告を受けて年明けにオファーし、この日正式契約。昨年は1軍4試合ながら、イースタンでは打率3割1分9厘、7本塁打と活躍。故障もなく、中日も状態は把握していた。

 西山球団代表は「チームの全部が構想通りに動くか分からないし、持っているものを出してくれたらハマってくれる場所があるだろう」と説明。中日は昨年、同じ右打ち外野手だった43歳の和田一浩氏を戦力外にした。チームの若返り策には逆行する動きになるが、右の長距離砲は補強ポイント。リスクが少ない「育成」の形をとりつつ、実質は1軍予備軍として計算している。

 中村はオリックスを自由契約になり、07年2月のキャンプ中に育成契約。開幕直前に支配下登録されると、大活躍して日本シリーズMVP、2年間で計44本塁打を放った。通算195本塁打の多村にも再現できる可能性はある。名古屋市内で会見したスラッガーは「現役ができるなら世界中どこでもいいと思っていた。ノリさんも育成から始まって結果を残した。見習って、1日でも早く貢献したいです」。キャンプから“多村らしさ”を出せれば支配下登録は現実味を帯びる。【柏原誠】

 ◆多村仁志(たむら・ひとし)1977年(昭52)3月28日、神奈川県生まれ。横浜では3年春夏連続で甲子園出場。94年ドラフト4位で横浜(現DeNA)入団。04年は自己最多の40本塁打を記録。06年オフ、トレードでソフトバンク移籍。13年にDeNA復帰。180センチ、80キロ。右投げ右打ち。