阪神のセカンド争いがセンター争いに飛び火するほど激烈になってきた。キャンプで二塁１本だった大和が２番中堅で出場。「昨日聞きました」というぶつけ本番のポジションだったが軽快な動きで守り切り、バットでも魅せた。５回１死一、二塁の第３打席で、左腕加藤から勝ち越しの左前タイムリー。対外４試合は８打数４安打の絶好調で二足のわらじＯＫの猛アピールだ。

　「難しい打球が飛んで来なくて良かった。ゲームに出れたらそれでいいです」。本人は涼しい顔だったが、キャンプに持ってきたグラブは「勝負する」と決めた二塁用だけ。そこで急きょ、密かに外野も準備していた上本から借りたという。金本監督は「（大和は）どこでも守れる。スーパーの野手だからね」と高評価。中堅起用に踏み切った背景には、本来の筆頭候補でこの日スタメン落ちした江越の不振も大きいだろう。

　だが二塁を争うライバルも黙ってはいない。５回に西岡が加藤から右前へ同点適時打を放つと、途中出場した上本も７回に左中間へ適時二塁打。金本監督は「西岡もよくライト前に運んだし、上本も追い込まれてからのタイムリーに価値がある」と３人の適時打競演にうなった。激熱バトルはどんな形で決着するのか。大和が中堅に収まるのか。ますます面白くなってきた。【松井清員】