ギータがセンターに帰ってきた。右肘手術後の回復が遅れていたソフトバンク柳田悠岐外野手(27)が、19日の広島戦で今季初めて中堅の守りに就いた。この日は全力で返球するシーンはなかったが、柳田が守れることにより左肩痛でこの日も欠場した内川や好調のカニザレスを開幕から指名打者で起用できる。チームはオープン戦4連敗で首位陥落も、開幕戦のベストオーダーが見えてきた。

 開幕まで残り3戦で、柳田が本来のポジションに戻ってきた。DHではなく、中堅でのスタメン出場。フル出場し「楽しかった。普通に大丈夫。走攻守すべて、それが野球。野球をしている感がある」と、充実感たっぷりに笑った。

 9回には2死一、二塁で西川の中前への安打を処理。二塁走者が本塁へ突入すれば、返球した際の状態も確認できたが、前進守備から猛ダッシュでチャージをかけた柳田の姿を見て、走者は三塁ストップ。この日は、本気で返球する場面は訪れなかった。それでも、柳田は「(突入なら)絶対、余裕でアウトでしょ。守った方が楽しい」と、自信を見せた。工藤監督も「右肘の感じはよくなってきている。本人は100(%)で投げる感じと言ってくれている」と、GOサインを出した。

 柳田が守備に就けば、打線の選択肢が大きく広がる。左肩痛の内川やオープン戦打率3割6分のカニザレスのDH起用が可能となる。福田も好調であることや、開幕の舞台となる仙台の寒さも考慮して柳田の開幕DHの可能性も残るが、いずれにせよ中堅を守れる見通しが立ったのは大きい。

 ヤフオクドームでのオープン戦最後の2連戦となったこの日、ももいろクローバーZ(ももクロ)が柳田のために作った曲が登場曲として流れた。「♪1秒先の未来なんて誰も知らない」という歌詞は、「一寸先は闇」と、おごらずに常に自分を高めようとする柳田にピッタリ。曲の感想を聞かれ「普通ですよ…」と照れたが、打席に向かう大きな力となる。

 工藤監督や周囲は右肘の状態を心配し、今日20日に守るかは、当日の状態を見て決める方針だが、柳田本人は「大丈夫でしょ。全然投げてないし」と平然。オフのリハビリからキャンプと右肘に悩まされてきたが、今季も不動の「3番・中堅」として、シーズンを突っ走りそうだ。【石橋隆雄】