泥だらけの1軍デビューだった。高卒3年目の阪神横田が開幕2番に抜てきされた理由は初回の攻撃に表れていた。先頭高山の出塁を生かせず、自らが併殺崩れで一塁に残った。2度目の速いけん制に頭から戻った直後だ。機敏に駆けだす。足から滑り込み、二塁を陥れた。記念すべきプロ初盗塁を決め、得点圏に進む。ヘイグの打球は左前へ。快足を飛ばして金本阪神の今季初得点のホームを踏んだ。

 「サインは出ていて、行くと決まって成功して良かった。得点に絡んだので良かったです」

 横田の2番起用はオープン戦で内野安打を量産した脚力に着目したもの。金本監督は「(足があるから)バントする必要もないし、走れる確率も高い。併殺も少ない。相手は嫌だろう」と話していた。凡打になっても足があるから得点圏も狙っていける。その思惑通りに早くも実行した。

 プロ初1軍だが、がむしゃらにプレーした。4回は遊ゴロになってしまう。アウトのタイミングだ。その瞬間、激走して一塁にヘッドスライディングした。惜しくもセーフにならなかったが、遊撃遠藤の動きにわずかでも遅れが出れば間一髪で内野安打を勝ち取っていた可能性もある。内野ゴロでも、野手に威圧感を与えられる「足」が武器だ。

 この日は4打数無安打でプロ初安打はお預けになった。「最初は守備とか緊張したけど、打席に入って落ち着いていけた。結果が出なくて悔しい」。笑顔なきデビュー戦。それでも、確かに存在感を示した。【酒井俊作】

 ▼横田が2番中堅で先発出場。横田の父真之氏はロッテ、中日、西武でプレーした外野手で、ロッテ時代には開幕戦に6度先発。親子で開幕戦に先発出場したのは、キーオ(マーティ・マット)長嶋(茂雄・一茂)黒田(一博・博樹)ライアル(マーク・ラスティ)に次いで5組目。