やるやないか! 阪神マット・ヘイグ内野手(30)が同点の6回2死一、三塁から中日田島の外角真っすぐを捉え、決勝適時打を放った。キャンプ中のケガで出遅れ、オープン戦も打率2割弱…。開幕前はどうなるかと心配された3番が、球団初の新助っ人開幕3試合連続タイムリー。金本阪神の勝ち越しスタートに大貢献だ!

 渋い流し打ちの打球が一、二塁間を抜けていく。同点の6回2死一、三塁。三塁走者の北條が楽々と生還した。ヘイグの「猛虎史上初」となる歴史的適時打で金本阪神が開幕カード勝ち越しを決めた瞬間だ。

 ヘイグ 一、二塁間が空いていたし、それまで2球、外角への投球が続いていたのでそこを意識して右方向を狙って打った。右打ちは自分の特長だしね。

 6年在籍したマートンがいなくなった「マートン・ロス」に悩む虎党もこれで心配無用かもしれない。81年目を迎える阪神史上、開幕から3試合連続で適時打を放った助っ人は初めて。新ヒットマンの誕生だ。

 配球を読んだ。代わったばかりの田島の初球は外角へ真っすぐが外れる。2球目はやはり外角へ。今度はストライク。カウント1-1。その3球目真っすぐを打った。

 金本監督 その前の球に首をかしげていた。(ストライクゾーンが)広いと感じたのか。相手バッテリーが「じゃあ広いところを攻めよう」と思ったのを感じとったんじゃないか。ボクも(現役時代)そういうところがあった。その場面は同じニオイがしたね。

 オープン戦は1割9分4厘と結果が出ず、助っ人として不安視された。金本監督の頭も「7番」の打順がよぎっていた。その頃、ヘイグが悩んでいたのはストライクゾーンだ。

 オマリー打撃コーチ補佐 米国に比べ、日本は内角が広いからね。それで迷っていたな。タイミングも突っ込んでしまったり。でも徐々に対応してきている。彼は頭がいいからな。

 熟考の末、昨季、3Aで3割を打ったプライドを考慮した指揮官が3番にすえた開幕カードで大暴れ。3試合で9打数4安打4打点、打率4割4分4厘だ。3試合連続適時打の助っ人記録も生まれて、笑いが止まらない。

 金本監督 勝負強いね。でも1年は長いから。これから絶対に調子は落ちてくるし、いろんな投手が攻め方をどんどん変えてくる。どう対応していくか。修正能力と対応能力と。手助けしてあげたい。

 ヘイグから自分と同じニオイを感じ取った指揮官は喜びつつ、分析した。興奮と冷静さを併せ持って「超変革」阪神は順調に滑り出した。【編集委員・高原寿夫】

 ▼阪神は開幕カード中日3連戦を2勝1敗で終了。セ・リーグ優勝した過去5シーズン(62、64、85、03、05年)も、いずれも今季と同じ2勝1敗だった。今回のように●○○の順番は、85、03、05年と同じ。平成に入っての2度の優勝03、05年は、いずれも今季のように同一カード3連戦(03年横浜戦、05年ヤクルト戦)でこの並びだった。