今秋ドラフト上位候補の日大・京田陽太内野手(4年=青森山田)が、ひと振りで白星スタートに導いた。国学院大に3-2と勝ち越した延長10回、1死一、三塁から左中間へ2点適時二塁打。184センチの大型遊撃手の今春初戦に集結した日米11球団、約30人のスカウトをうならせた。

 意地の一打だった。4打数無安打で迎えた延長10回、京田が外寄りの直球を遊撃手の頭上に運んだ。試合前の練習から狙い続けていた、逆方向への鋭い打球だった。「冬から徹底的に練習してきた形を、最後に出せてよかった」。右手人さし指の付け根と手のひらに、大きなマメができるまでバットを振ってきた成果を披露した。

 主将として臨むドラフトイヤーの重圧があった。仲村恒一監督(55)が「試合前から、鼻から火をふいていた」というほど気合十分で球場入り。京田自身も「緊張しすぎて、1打席目は足が震えた。最後に少し楽になった」と苦笑いした。

 5打数1安打でも、プロの高い評価は変わらない。6人体制で視察した阪神の吉野スカウトは「12球団を見渡しても、これほどの大型遊撃手はなかなかいない。逆方向に強い打球が打てるし、走塁やスローイングも抜群」と話した。「球場から寮に戻るまでグラブは外さない」と言う、野球少年のような京田が今秋ドラフトの野手の目玉になる。