衝撃の3連発が窮地を救った。西武エルネスト・メヒア内野手(30)が逆転満塁弾を含む3打席連続アーチの大暴れ。エース岸、C・C・リーの2投手が負傷で緊急降板するアクシデントを、全7得点を本塁打でたたきだしてカバーした。引き分けを挟む連敗も2でストップ。助っ人のバットがチームを上げ潮に乗せる。

 3本目は弾丸ライナーで左中間席に突き刺さった。3点ビハインドで迎えた7回1死満塁。メヒアは初球を振り切った。「ホームランは考えず、強い打球を打つことだけに集中して打席に入った。ほんとにラッキーだったよ」。バックスクリーンの左右にたたき込んだ先制、中押しアーチに続く8号グランドスラムが、熱戦に終止符を打った。先発岸が3回に、3番手C・C・リーが7回に負傷で降板。球場全体が騒然となったが、集中力を研ぎ澄まし、野球人生初という3打席連続弾を決めてみせた。

 大暴れの影には、今秋に生まれる予定の第1子の存在がある。現在、ベネズエラからマイテ夫人が来日中。好調な打撃もあって、練習中も笑顔が多く「子どもが生まれるから、いつもスマイルなんだ」。愛する妻と、心待ちにする子どものためにも「しっかり仕事をしないといけないからね」と、早くも大黒柱としての自覚をのぞかせた。

 来日3年目を迎えた。前日23日の試合後には夫人と2人で焼き肉店へ行き、英気を養った。フォークなどは使わず、器用に箸を使いこなす。さらに西武プリンスドームへの通勤は今でも西武線を利用している。ファンも周知で、この日のお立ち台後には「今日は何時の電車で帰るの?」という声も飛ぶほど、日本の生活に順応している。

 これで本塁打、打率、打点、安打数でリーグトップに立った。今季から、試合前に橋上作戦コーチが相手分析の個別のミーティングを実施しているが、最初に訪れたのはメヒアだった。この姿勢が1発だけでなく、打率3割4分7厘という数字にも表れている。「調子がいいときが永遠に続くわけじゃない。今日は何よりも勝ったことがうれしい」と控えめに喜んだ。引き分けを挟む連敗も2でストップ。秋の美酒のためにバットを振り続ける。【佐竹実】

 ▼メヒアが3回に先制ソロ、5回に勝ち越し2ラン、7回に逆転満塁と3打席連続本塁打。満塁含む3打席連発は98年6月30日江藤(広島)以来、プロ野球史上7人目の快挙だ。西武の得点はメヒアの3連発による7点だけ。満塁含む3連発でチーム全得点は89年10月12日ブライアント(近鉄)97年9月20日中村紀(近鉄)に次いで3人目だが、3本すべて肩書付きは7人のうちメヒアしかいない。なお、西武選手の1試合3打席連発は06年6月17日カブレラ以来で8人目。