プロ野球巨人の野球賭博事件で、警視庁は、既に賭博への関与が発覚している松本竜也(23)、高木京介(26)、福田聡志(32)の元選手3人を賭博容疑で書類送検する方針を固めたことが4月30日、分かった。福田元選手とともに賭博をした大学院生も立件する。賭博開帳図利(とり)ほう助容疑で逮捕された元選手笠原将生(しょうき)容疑者(25)が、客の元選手2人から賭け金計数百万円を集めていたことも分かった。

 笠原容疑者の逮捕から一夜明け、警視庁組織犯罪対策4課は松本、高木、福田の元選手3人を賭博容疑で書類送検する方針を固めた。3人には任意で事情を聴き、笠原容疑者を通じて賭博を行った経緯を調べていた。賭博の仲介などをした形跡はなかった。

 日本野球機構(NPB)の調査で、野球賭博常習者の1人「A氏」とされていた愛知県の大学院生も立件する。笠原容疑者は逮捕前の取材に、この大学院生について「中高生時代の先輩が同じ大学院に通っていて、それで知り合った。大学院生とマージャンをしている時に、福田元選手を紹介した」と話していた。

 福田元選手は大学院生を通じて、昨年夏の全国高校野球選手権大会やプロ野球、米大リーグの計十数試合で賭けを行った。1点1万円で、最終的に百数十万円の損をしたという。

 捜査関係者によると、賭博開帳図利容疑で逮捕された胴元役の斉藤聡容疑者(38)は、1試合につき数万円単位で賭けを受け付け、レートとなるハンディを笠原容疑者にメールで伝達。松本、高木の両元選手には、笠原容疑者がメールでハンディを教えていた。両元選手は賭けるチームや金額を笠原容疑者に伝え、金は手渡ししていたという。

 NPBの調査では、高木元選手は1試合5万~20万円を賭けていたことが分かっている。笠原容疑者は客としても斉藤容疑者の賭博に参加しており、逮捕前の取材に「1試合で最低5万円、最大で100万円を賭けた」と話していた。

 笠原容疑者が集めた金は計数百万円になり、この金を受け取った斉藤容疑者は、他の胴元に賭け金を渡す仲介者だった疑いもある。警視庁組織犯罪対策4課は暴力団に資金が流れていた可能性もあるとみて、事件の実態解明を進める。

 ◆賭博罪 利益を得る目的で野球賭博や違法カジノなどの賭場を主催し、客に賭けさせて手数料を得る行為が賭博開帳図利罪で、3月以上5年以下の懲役。ほう助は、刑が減軽される。そうした賭場で単純に客として賭け事を行うのが賭博罪。50万円以下の罰金または科料だが、繰り返し賭け事をすると常習賭博罪となり3年以下の懲役刑。