亜大が12年秋以来の8連勝で、2季連続25度目の優勝を飾った。初回に先制されたが、2回に正随優弥外野手(2年=大阪桐蔭)の中越え適時二塁打で同点。3回に北村拓己内野手(3年=星稜)の内野ゴロの間に勝ち越した。開幕2連敗からの快進撃で、勝ち点4で並んだ国学院大を勝率で上回った。昨秋に続く日本一を目指し、全日本大学選手権(6月6日から7日間、神宮ほか)に出場する。

 「赤点集団」が、喜びをかみしめた。赤で染まった応援席からテープが投げ込まれ、亜大ナインが歓喜の輪をつくった。主将で4番の水本弦内野手(4年=大阪桐蔭)は「不安しかなかったけど、最高の形で終われてよかった」。誰もが感情を爆発させることなく、安心した表情を浮かべた。

 危機感しかなかった。阪神入りした板山ら、昨秋の日本一になった主力メンバーが卒業。生田勉監督(49)は「今までで一番弱い。経験も力もない。1部残留も赤信号」。昨季は黒だったジャージーやオープン戦のユニホーム、帽子、ランニングシューズまで赤で統一された。

 練習のレベルも下げ、はい上がった。監督の要求は「ボール球を打つな、四球を出すな」。打撃練習や投球練習で使用していた、ストライクゾーンを9分割した板は4分割になった。より簡単な練習を繰り返して基礎を鍛えたが、開幕2連敗。リーグ戦中では異例の愛知遠征を決行した。4月9日から急きょ組んだオープン戦も3連敗。泥沼状態だった。

 チームを変えたのは4年生だった。打者は高めも低めも捨て、確実なストライクだけ振る選球眼を磨いた。水本は「練習で三振したり打ち損じたら、自分から外野まで罰走した」。背中で危機感を表した。制球難で「140キロ禁止令」を出された山田義貴投手(沖縄尚学)は球速へのこだわりを捨てた。4月27日の東洋大戦、水本の2打点と山田義の完封で9-0の快勝。信号は「青」に変わった。

 「史上最弱」と言われたチームが8連勝で優勝。生田監督は「正直、信じられない」と言った。1、2部入れ替え戦を覚悟して作った日めくりカレンダーは、日本一へのカウントダウンに変わった。【鹿野雄太】