東海大北海道(札幌学生)水野滉也投手(4年=札幌日大高)が、立命大(関西学生)から毎回の16三振を奪い完封した。関西の強豪校を5安打に封じて一躍全国区になったドラフト候補右腕が、チームを15年ぶり2度目の8強へ押し上げた。

 水野は、最後の1球まで気持ちを切らさなかった。6日の1回戦、環太平洋大戦で147球を投げ抜いた。中1日の立命大戦も、最速145キロ直球とスライダー、フォークなど、右横手から繰り出す変化球で打者を翻弄(ほんろう)。9回に140キロ台をマークする抜群のスタミナで、最後は4者連続三振で締め「16個も取ってると思わなかった。腕を振って投げられた」と149球を振り返った。

 雪山で鍛えた腰のひねりが生きる。2歳から始めたアルペンスキーは、北海道大会2位の実績もある。小学2年から野球と両立していたが、小4だった07年。メジャーで投げる松坂大輔に憧れ、野球専念を決意した。札幌日大高1年時に右肘を痛め上手から変えた横手は、体の回転が大切。スタンド観戦した父昌弘さん(57)は「スキーの経験もあって今がある。そういう運命だったのかな」と目を細める。

 高校まで全国とは無縁。札幌日大高3年の夏は、南北海道大会決勝で札幌第一に1点届かず甲子園を逃した。悔しさを胸に、大学で鍛えて迎えた晴れ舞台。右腕の投げっぷりを見たスカウトの評価も急上昇した。DeNA高田GMは「サイドでこれだけ力がある。変化球、落ちるボールもいい。コントロールもあり、なかなかいない」。社会人、そして将来的にはプロを夢見る男は、存在感をアピールした。

 今日9日は中央学院大(千葉県)と初の4強入りをかけて戦う。舞台は大学野球の聖地、初の神宮。「チームが目指しているのは日本一」と、今は仲間と頂点を見つめているのが心地よさそうだ。【保坂果那】

 ◆水野滉也(みずの・こうや)1994年(平6)6月1日、札幌市生まれ。札幌月寒東小2年から野球を始め、豊平東シニア所属。札幌日大高を経て東海大北海道。今春のリーグ戦6試合に登板し5勝無敗、防御率0・21で最高殊勲選手賞。家族は両親と兄。175センチ、75キロ。右投げ右打ち。