奈良学園大(近畿学生)宮本丈(たけし)内野手(3年=履正社)が、史上初のサヨナラ満塁弾を放ち7-3で関西国際大(阪神)を破った。3-3の延長10回、タイブレーク史上初のサヨナラアーチを右翼席へ放り込んだ。2日連続の決勝弾でチームを初の4強へ導いた。中京学院大(東海地区)は、5-1で亜大(東都)に快勝し岐阜県勢初の4強。中央学院大(千葉県)は11年ぶり、上武大(関甲新学生)は9回サヨナラ勝ちで4強を決めた。

 2日連続の決勝アーチで、宮本が大会史を塗り替えた。延長10回裏1死満塁。右翼スタンド上段まで軽々と飛んだ史上初のサヨナラ満塁弾。前日8日の2回戦も8回に勝ち越しソロを放った3番打者は「満塁弾は小学6年のランニングホームラン以来。サヨナラはヒットの経験もない。プロ野球で見る光景でした」と感激の瞬間をかみしめた。

 2試合連続の打のヒーロー。「芸人さん並みにブレークしました。一発屋にならないように気をつけます」と大阪人らしく、笑いのツボを押さえる。一方で酒井真二監督(39)が「寝る間を惜しんでバットを振る」と信頼する、陰の努力家だ。

 履正社3年夏の大阪大会直前の守備練習でイレギュラーした球を受け、右手を骨折。不断の努力を知るチームメートは「丈(たけし)を甲子園に連れて行こう」と奮闘も、決勝で大阪桐蔭の前に力尽きた。大学3年の神宮で、間に合わなかった高校最後の夏の分まで活躍を続ける。

 準決勝はドラフト1位候補の吉川尚輝(4年=中京)を擁する中京学院大と対決。「吉川さんを見に来るスカウトの前で地味に活躍します。あいつもいいな、と思ってもらえたら」と言いながら、打撃は主役級だ。【堀まどか】