超変革の担い手はまだいる! 阪神の高卒ドラフト4位ルーキー望月惇志投手(18=横浜創学館)が1軍の先発ローテーション候補に急浮上していることが21日、分かった。若手を積極起用する金本知憲監督(48)も高評価で、1軍昇格が検討されている。先発陣は6番手が不確定なだけに、早ければ7月中にも、チーム最年少右腕が1軍戦力としてベールを脱ぐ。

 高山、原口、北條に岩貞。超変革の名の下にチャンスを与えられ、頭角を現す若手が続出しているが、阪神にはまだ隠れた戦力があった。ドラフト4位「望月惇志」。188センチの長身から投げ下ろす直球が武器の高卒ルーキーだ。圧倒的な成長曲線を描く右腕が、後半戦の先発候補にぐっと台頭してきた。

 ウエスタン・リーグでは高卒1年目ながら、13回2/3を投げ、防御率1・32。鳴尾浜での8日オリックス戦では、自己最速を3キロも更新する151キロをマークしたばかりだ。

 金本監督の期待も高い。甲子園でナイター巨人戦があった4月26日、正午すぎに鳴尾浜を訪れ、望月が先発するプロアマ交流戦の履正社学園戦を視察した。3回1安打無失点と好投した新人右腕を「(実戦を)見るのは初めて。スライダーも良かった。高卒1年目ですごいね。(将来の)エース候補やね」と絶賛していた。

 評価は高まるばかりで、13日に出演したABCラジオの人気番組「ガチ虎!」内でも、ファームで期待する選手として「高卒1年目の望月ですね」と明言。「やっぱり将来性とかね。現時点でクイックで142、3キロ平気で出したり、ピッチャーらしい本格派のピッチャーというのでね。これは楽しみなピッチャーですね。今季どこかで1軍に上げて投げさせたいなというのは、これはずっと思っていますね」と今季中の登板プランを明かした。

 期待するのは金本監督ばかりではない。望月を付きっきりで指導する久保2軍投手チーフコーチも「話を聞いて技術を吸収しようとする姿勢は若いころの岩隈(マリナーズ)そっくり。それはもうすごい選手になるんじゃないかな」と話すほど。望月自身は「期待されているのは感じるので、その期待に応えられるように頑張りたい」と意気込み十分だ。

 1軍の先発投手陣はローテーションの6番手が固定されていない状況。青柳や守屋、秋山らとともに、望月も候補の1人に挙がるところまで成長した。結果を残し続ければ、7月以降、夏場辺りで1軍昇格する可能性もありそう。超変革の目玉として、若き大型右腕のデビューがすぐそこに迫っている。

<望月惇志(もちづき・あつし)アラカルト>

 ◆生まれ、球歴、サイズ 1997年(平9)8月2日、神奈川県。横浜創学館からドラフト4位。背番号61。188センチ、84キロ。右投げ右打ち。

 ◆目標は藤川球児 高校の自由研究で藤川球児のボールの回転について調査。400字詰めの用紙2枚分にまとめた。

 ◆食トレ 横浜創学館2年冬には走り込みの後、炊飯器を抱え込んで熱々の3合を胃に詰め込んだ。同時にカットした餅も好んで食べ、2カ月で5キロの体重増量。

 ◆2軍キャンプ 2月の安芸キャンプでは1度も実戦登板せず。久保コーチのもと、強化ランニングとウエートを中心に体作り。

 ◆プロデビュー 4月3日、社会人カナフレックスとのプロアマ交流戦(鳴尾浜)で実戦デビュー。2回を無安打。「緊張もしましたけど、楽しみの方が多かったです」。

 ◆金本監督チェック 4月12日に鳴尾浜でのブルペン投球を金本監督が視察。指揮官たっての希望だった。約40球を見て「望月はものが違うね」と絶賛。

 ▼望月のアマ時代 横浜創学館では2年春からベンチ入りし同年秋から背番号1。秋の県大会では3回戦の南戦で16奪三振を記録。3年春に当時自己最速の148キロをマーク。3年夏は平塚学園に敗れ県ベスト16。最高成績は2年春の県ベスト8。横浜南ボーイズに所属していた中2秋には、県予選決勝で中日ドラフト1位小笠原に投げ勝った経験もある。

 ▼今季1軍戦に出場した高卒新人選手は3人で、いずれもドラフト1位入団。小笠原慎之介投手(中日)は3試合で0勝1敗。オコエ瑠偉外野手(楽天)はセンターの定位置をつかみ、6月11日広島戦ではプロ野球17年ぶりの高卒新人による猛打賞。平沢大河内野手(ロッテ)は6試合に出場したが、無安打に終わり現在は2軍。