本塁での危険な接触を防ぐために今季から導入された「コリジョン(衝突)ルール」について、日本野球機構(NPB)が運用基準の見直しを検討していることが29日、分かった。7月4日のプロ野球実行委員会で議論し、後半戦からの見直しを目指す。

 これまで捕手(または本塁カバーに入った野手)は走者の進路に入れないという運用指針を厳しく適用してきたが、ルールの解釈や適用の判断を巡って現場に困惑があり、判定を不服としてNPBに意見書や質問書が提出される事態が相次いだ。新たな基準では実際に衝突が起きたかどうかが重視される。走路に入っても衝突が生じなかった場合は、アウトの判定を変えずに捕手に警告を与える場合もある。

 NPBは検討の材料として、リプレー検証を行った例をDVDにまとめ、各球団やプロ野球選手会に送った。6月28日までの時点でルールの適用は4件あったが、このうち3件は新基準では適用外になるという。5月11日の阪神-巨人(甲子園)では阪神の原口捕手が走路に入ったとされ、判定がセーフに覆った。「審判員の間でも意見が分かれる」(NPB関係者)微妙な事例だったが、新基準では衝突がなかったのでコリジョンルール適用外となる見通しだ。

 当初は今季終了後に修正点を議論する予定だったが、異例ともいえるシーズン中の変更に乗り出した。