剛腕で、絶対王者を制圧した。日本ハム有原航平投手(23)が快投で、チームの今季最長の連勝を「9」へと伸ばした。今季4度目の対戦となったソフトバンク相手に8回を5安打無失点、9奪三振と完璧な内容。2年目の今季はキラーぶりを発揮し、無傷の3連勝で返り討ちにした。昨季に並ぶ、自身最多タイ8勝目をマーク。同一カード3連勝を狙い、今日3日に先発する大谷へ最高の流れを呼び込んだ。

 両眉をつり上げ、首を振った。控えめな有原が、自己主張した。8回2死。標的は、同郷広島の先輩・柳田だ。カウント3-2からの8球目。捕手市川のフォークの要求を拒絶した。バッテリーが選んだのは内角直球。気力も乗り精度抜群の149キロを膝元に突き刺す。見逃し三振。快投劇のラストを飾った125球目。憎らしいほど迫力満点。事実上のウイニングショットで強力打線の生気を奪った。

 ソフトバンクとは今季4度目の対戦だった。「たまたま、いいボールがいった」と、しおらしいが戦略は不敵だった。これまでと配球を微調整。ツーシームの握りで、微妙に沈むチェンジアップのような変化をする球を加えた。市川に「投げてみたい」と直訴し加えた。この日最速150キロの直球にフォーク、カットボールが基本パターン。ツーシームを組み立ての隠し味にし、混乱を誘った。三塁を踏ませることなく、8回を投げ切った。

 進化の加速度が増すプロ2年目。日ごろからインターネットを駆使し、他球団のデータ収集がルーティンの1つ。早大でエースだった有原は、ライバルの法大でしのぎを削ったDeNA石田、明大のオリックス山崎福らの動向もチェック。特に今季ブレークした石田は、同じ広島出身。「本来の投球をすればボールも速い。制球も良く、落ちるボールもいいので活躍すると思う」。予言も的中し、刺激にして発奮してきた。

 ソフトバンクに今季、無傷の3勝。栗山監督は「有原サマサマ。圧倒してくれた」と最敬礼した。新人王の昨季に並ぶ8勝目を挙げ、今日先発する大谷へバトンタッチした。「お互い、いい流れなので勝とうと話していた」。その約束を果たし、163キロ右腕へ同一カード3連勝、14連勝した07年以来9年ぶり2ケタ連勝の野望を託した。ソフトバンクとは7・5ゲーム差。有原が、反撃の足音を響かせた。【高山通史】