20歳のDHが大仕事! オリックスの高卒3年目、園部聡内野手がプロ初打点となる決勝打でチームの連敗を止めた。育成契約から支配下に再登録されて3日目。1軍初昇格即スタメンで結果を出した。「初出場だし積極的にいこうと思っていた。うれしい」。まさに出来すぎのシンデレラストーリーだった。

 試合前練習から「力んで前に飛ばなかった」とガチガチでも、2回の初打席で左前打。7回は2死一、二塁でロッテ大谷から左前に勝ち越し打を飛ばした。「(前打者の)クラークが外し気味の四球だった。何とか打ちたかった」と意地の一振りだった。

 聖光学院(福島)から入団1年目の8月に右肘を手術。オフに異例の戦力外通告を受け、育成へ降格した。昨年もアピールできず。「けがしてふがいない気持ちだった。同世代が1軍で結果を出していたし…」。同期入団の若月、奥浪のほか18U日本代表で一緒だった西武森、楽天松井裕の活躍が心の支え。中学でチームメートだった楽天内田が先月29日オリックス戦で決勝弾。刺激を受けていた。

 入団時は背番号44とあって「和製ブーマー」と期待されたが、実際に好きなのは元メジャー本塁打王のマニー・ラミレス。「メジャーの打者だけどシンプルなフォーム。まねしてます」。この試合前にも動画を見ていた。“マニー打法”が7月初勝利を呼び込んだ。

 球場に駆けつけた母知子さんに、記念のボールを手渡すつもり。「いいスタートが切れた。これからもチャンスをつかんでいきたい」。最下位に沈むチームで、将来へ希望の光が差し込んだ。【大池和幸】

 ◆園部聡(そのべ・さとし)1995年(平7)11月10日、福島県いわき市生まれ。聖光学院では1年秋からベンチ入り。一塁手として4季連続甲子園出場した。高校通算59本塁打。13年ドラフト4位でオリックス入団。1年目オフに育成となり、今月1日に支配下登録された。184センチ、94キロ。右投げ右打ち。