ソフトバンクがゼロ行進の連敗から脱出した。前日5日まで59年ぶりの3試合連続完封負けを喫し、工藤公康監督(53)がまた打線を改造。6番が定位置の松田宣浩内野手(33)を4年ぶりに1番で起用し、1回に松田が10球粘った末に選んだ四球を足がかりに、内川、中村晃、吉村と3連続適時打で3点を先制した。28イニングぶりの得点から7、8回にも加点し連敗を4でストップ。前半戦首位折り返しを決めた。

 ソフトバンクが連日の打線テコ入れで、連続完封負けに終止符を打った。キーマンとなったのは12年10月8日以来、4季ぶりに1番で起用された松田だった。

 前日5日には1957年以来、59年ぶりとなる3試合連続完封負けを喫し、4連敗。ナインは敵地、京セラドーム大阪のロッカー室で緊急ミーティングを開いた。当然、松田も勝利を渇望していた。

 「1番なので(役割は)出塁とかいろいろあるし、久しぶりで楽しかった。勝ててよかった」

 初回から勝利への思いをぶつけた。先頭として10球粘って四球で出塁した。1死一、二塁から内川の中前先制適時打で生還。チームとして42イニングぶりの適時打で、28イニングぶりの得点。8試合ぶりに先制点を奪うと、5番中村晃、6番吉村も適時打で続き、3点を奪った。初回から主導権を握った。内川も「昨日までのこともあったし、打順も変わって、やらなきゃいけないんだと思った。いつも以上に緊張したが、チームが勝ててよかった」と、胸をなで下ろした。

 勝利をさらに近づけたのも1番松田の一打だった。3-1で迎えた7回。先頭で右翼線への二塁打を放つと、1死三塁から柳田の一ゴロで生還。2得点を刻み、1番起用に応えた。

 工藤監督は前日5日、柳田を5番で起用した。盗塁が警戒される柳田が出塁すれば、6番の松田に直球が増え、狙い球が絞りやすくなるという思惑だった。だが作戦は失敗。そして、この日の打線改造第2弾の目玉が1番松田だった。指揮官は「気分転換もあるが、相手に向かっていけた。見極めもできて、安打も出た。感じがよければしばらく続けていくのも1つの方法」と、コーチ陣のアイデア的中を喜んだ。さらに、2軍で絶好調の猪本を1軍に昇格させて、プロ初の先発起用。先発オーダーを見たナインが奮起した。梅雨空のように湿りがちだったホークス打線が、ようやく目を覚ました。【福岡吉央】