野球・ソフトボールが、3大会ぶりに五輪種目に復活する。国際オリンピック委員会(IOC)の総会が3日(日本時間4日午前)、リオデジャネイロで行われ、20年東京五輪で空手、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンを加えた5競技18種目が追加種目として実施されることが全会一致で承認された。プロ野球の熊崎勝彦コミッショナー(74)は、金メダル獲得へ、ドリームチーム結成を宣言。長嶋茂雄巨人終身名誉監督(80)が、「総監督」などの立場で、チームを支えれば、大きな力になりそうだ。

 日本時間午前4時46分に吉報が飛び込むと、プロアマ、ソフトボールの関係者が詰め掛けた早朝の都心に、歓喜の声が響いた。

 直後に会見を行ったプロ野球の熊崎コミッショナーは「大変喜ばしいこと。内心ホッとしたということに尽きる」と安堵(あんど)した。3大会ぶりの五輪復活が正式決定したことで、視線はその戦いに向く。地元での金メダル獲得は、野球界にとって最も大きなミッションになる。

 熊崎コミッショナーは、勝つためのチーム編成に徹する方針を示した。「ベストチーム、ドリームチームで臨む。勝つための編成が第一義」と宣言。すでに20年東京五輪期間中のプロ野球シーズン中断を決定。最強チームを編成する覚悟を示した。

 そのチームに、長嶋巨人終身名誉監督が「総監督」などの立場で加わる待望論が起こっている。悲願の金メダルへ、プロアマ一体となったまとめ役がいれば心強く、長嶋氏ならこれ以上ない存在になる。04年アテネ五輪では「長嶋ジャパン」を結成。本番を前に脳梗塞で倒れ、五輪の指揮は中畑清氏に託した。アテネ直前に逃した夢が、16年後の東京で結実するのか。実現すれば、チームにとっても大きな力になる。

 ドリームチームを率いる指揮官について、熊崎コミッショナーは「具体的な検討はまだ行ってません」とした上で言葉を続けた。

 「五輪の野球競技というのは格別の重圧があると思います。日の丸を背負って、この重圧にしっかりと耐えて、かつ、選手個々の力を100%以上出し切るような指揮が執れる。こういったもろもろの要素が必要になってくると思います」

 実績、経験では09年WBCで世界一に導いた原辰徳氏を筆頭に、13年WBCの監督候補だった秋山幸二氏らが挙がる。さらに、長嶋氏とともに国民栄誉賞を受賞した松井秀喜氏、現役を引退していればマーリンズ・イチローらが候補になる可能性もありそうだ。絶対に負けられない、特別な五輪まで4年。最善の準備を尽くし、向かっていく。