中日は、9日に谷繁元信監督(45)を「休養」という名のシーズン途中解任に踏み切った。就任3年目、監督専任になって1年にも満たない電撃人事だった。歴史的低迷を招いた裏には何があったのか。3回にわたって検証する。

 14年ドラフト。スカウト陣は1位を有原(日本ハム)と山崎康(DeNA)とで迷っていた。だが土壇場で落合博満GMが21歳の野村にひっくり返した。

 この2年、落合GMによる独断指名は複数件あった。谷繁監督は聞いたことのなかった選手の指名を突然聞いて、あわてて自ら動画サイトで確認した。GMの主張が優先されるのは自然なこと。監督への事前報告の義務もない。だが会議で意見を戦わせる空気にすらならないとなると、やはり違和感を覚える。

 編成の根幹をになうドラフトがこれでいいのか。スカウト陣がおぼえたであろう無力感は想像に難くない。今のところ2年で指名した計15人のうち、誰も1軍定着できていない。人材を生かし切れていない、使う側、育てる側の責任もあるが、監督の在任中に即戦力ドラフトの「結果」が出なかった事実は明白だ。

 それでも白井オーナーは「そうは思わない」とGMに責任はないと言う。佐々木球団社長は「すべてをGMに任せているわけではない。できることはすべてやってきたつもり」と話した。2カ月後、今年もドラフト会議を迎える。谷繁監督はいつも「未来のドラゴンズ」を気にしていた。5年後、10年後の球団の姿はまだ見えてこない。【中日担当=柏原誠】(つづく)