広島黒田は7回まで88球、2安打無失点と好投した。7回2死まで12アウトをゴロで奪うと、最後はバレンティンをスプリットでバットを振らせた。日米通算200勝を達成した7月23日阪神戦以来の今季8勝目でチームの連勝を5に伸ばした。

 初回は2安打を浴びた。「ブルペンから体も動かず、いつも以上に思った球を投げられずに苦しかった。開き直って、石原のリード通りにテンポ良く投げた」。立ち上がりを無失点で切り抜けると、2回以降は球を低めに集めた。山田、川端、畠山ら主力を欠くヤクルト打線にも、細心の注意を払った。外野への飛球もわずかに3つだった。

 投球だけではない。4回1死一、三塁で迎えた打席では、一塁線へスクイズを決めて先制点を奪った。投打で試合を支配した黒田に対し、緒方監督は「今日は黒田でしょう。打つ方でも打点を挙げてくれた」と最敬礼だ。

 この日は広島土砂災害からちょうど2年だった。「頭には入っていました。広島の街が少しでも元気になればいい」。日米通算201勝目となる先発200勝で、2位巨人とのゲーム差7を死守。広島の街をさらに元気にするゴールへ、緒方広島は加速した。【前原淳】

 ▼黒田が日米通算201勝目(日122勝、米79勝)を挙げ、野茂(ロイヤルズ)の日米通算最多勝利記録に並んだ。黒田は救援勝利が05年10月7日ヤクルト戦の1勝しかなく、これが先発で200勝目。野茂の先発勝利は199で、日米通算で先発200勝は初めて。日本の先発勝利は鈴木啓(近鉄)の287勝が最多で、先発200勝以上は11人しかいない。また、この試合は黒田のスクイズで先制。黒田のスクイズ成功は06年5月20日日本ハム戦以来3度目。自らのV打点で勝利も日本では前記日本ハム戦以来、10年ぶり。