ドラフト上位候補に挙がる明大の右腕、柳裕也投手(4年=横浜)がリーグ通算20勝目(今季2勝目)を挙げた。慶大相手に被安打1、毎回の13三振を奪い完封勝ち。9回無死一、二塁で雨が強くなり43分間中断。それでも気持ちは切らさず、再開後は後続を3人で仕留めた。打線は17日にノーヒットノーランを達成した慶大・加藤拓也投手(4年=慶応)から3点を奪った。

 試合再開の直前、明大守備陣が円陣を組んだ。その輪の中、主将の柳がゲキを飛ばした。「死ぬ気で投げるから、死ぬ気で守ってくれ」。9回無死一、二塁のピンチは後続を連続三振、さらに二ゴロに打ち取り、試合を終わらせた。

 柳が振り返った。「中断して逆に気持ちを切り替えられた」。9回を前に強さを増した雨。ぬかるんだマウンドの土がスパイクについて滑る。死球と四球の走者だった。「あのままだったらやられたかも。経験がなかったし、意味のあるゲームになりました」。

 140キロ半ばの速球に、チェンジアップ、さらにスピードを殺した速球も交え、5回の二塁打1本に抑えた。明大の20勝投手は2年前の山崎福也(現オリックス)以来。「1年の春、秋が終わったあと20勝と300三振を目標にしてきました」。

 残すは奪三振だ。「1個1個、腕を振って結果を出せていければいいです」。この日の13を加えて通算は294。史上15人目の大台にも、あと6に迫った。