仙台大のプロ注目スラッガー松本桃太郎三塁手(4年=北海)が通算114安打を達成。25年ぶりのリーグ記録更新に王手をかけた。東北福祉大との同率首位対決は1-2で競り負けたが、2打席連続の中前打でチームをけん引。今日2日の第2戦で雪辱し、3戦勝負に持ち込む気概を示した。

 日本一を目指す仙台大の「桃太郎」が、リーグデビューした13年春の東北工大1戦目の初打席初安打から通算372打席目でリーグ記録に並んだ。初回の第1打席で外角高めの直球を、4回の第2打席で内角ベルト付近の直球をともに中前へはじき返した。松本は「試合中はあと何本なのか忘れていました。ベンチに戻ったら『おめでとう』と言われた」と振り返った。

 13年秋は史上初の1年生打撃3冠でMVPを獲得するなど、注目を浴び続けてきた。だが2年秋は打率2割6分8厘に落ち込むなどスランプも経験。迷うたびに独自の打撃理論に修正を加えながら成長し続けてきた。研究心も旺盛で、打撃前のルーティンや打撃フォームなど、良かれと思うことはすべて試した。昨季後はパワーアップのために体重を93キロまで増やしたが、今春キャンプで体のキレが悪くなり、慌てて5キロ以上絞った。

 今春の100安打達成前後は「生みの苦しみ」も味わった。だが今秋は「自分のポイントとタイミングで打てばヒットゾーンに行く」と確信。さらに「スイングの軌道もスピードも大学4年間で一番いい」と迷いはない。スランプ時も信頼し続けてきた森本吉謙監督(42)も「逆方向にきっちりと打ち返した。やはり並じゃない」と舌を巻いた。

 すでにプロ志望届を提出。一部球団にリストアップされている。1点を追う8回裏2死二塁の最終打席は、ストレートの敬遠。やはりドラフト候補の東北福祉大・長坂拳弥捕手(4年=健大高崎)に「ごめんな」と謝られた。今日2日の第2戦ではリーグ通算23勝の現役最多勝エース城間竜兵(同=八戸学院光星)との対決が濃厚だ。この日の試合前は「お前から打って更新するわ」と直接、宣戦布告した。先勝を許した桃太郎は「この悔しさを自分のバットで晴らしたい」と25年ぶりのリーグ記録更新を誓った。【佐々木雄高】