野球独立リーグ、BCリーグ新潟の県出身2投手がプロ野球ドラフト会議(20日)での指名を待っている。高井俊投手(21)と前川哲投手(20)だ。ともにチーム在籍2年目で、高井は最速152キロ、前川は148キロの速球がプロの目にとまった。巨人、DeNAなど複数球団が育成選手指名を含めてリストアップしているという。BC新潟では11年の育成選手ドラフトで雨宮敬投手(29)と渡辺貴洋投手(24)が指名されたが、正規の指名はまだない。2人は球団の期待も背負って吉報を待つ。

 左足を上げると同時に、打者に背中を向ける。そこから体をひねって力強く投げ込む。「尊敬する投手は野茂さん」。高井の売りは近鉄、大リーグのドジャースなどで活躍した野茂英雄氏(48)を参考にした「トルネード投法」だ。

 5月の楽天のファームとの試合で最速152キロをマーク。「最初はフォームが固まらなかったけど、今は制球力もついてきたと思う」。入団時から取り組んでいたトルネードが、自分のものになった。それがドラフト候補に挙がる成果になった。

 一時は野球から離れた。東北(宮城)を卒業後、悠久山栄養調理専門学校に。東北では甲子園出場経験はない。「甲子園に出てプロ入りしたかったけど、プロから話もなかった」。調理師の勉強をしながら、地元見附市で軟式野球に取り組んだ。

 そこで国体予選などに出場することで火がついた。高3の春、中部地区大会決勝で仙台育英戦に先発。2-3でサヨナラ負けしたが、必死に投げた。その感覚がよみがえった。

 14年11月にBC新潟のトライアウトに挑戦し、合格、その後に野茂氏の投球の映像を偶然見た。「これだと思った」。それ以後取り組んできたトルネードがプロへの挑戦切符になった。

 遠回りした分、もう、目標を見失うことはない。「ドラフトを待てることがうれしい」。今は扉が開く瞬間を楽しみにしている。【斎藤慎一郎】

 ◆高井俊(たかい・すぐる)1995年(平7)8月22日、見附市生まれ。今町小2年で野球を始める。今町中から東北(宮城)に進み、3年の夏は4回戦で敗退。卒業後、悠久山栄養調理専門学校で調理師免許を取得。15年にBC新潟に入団。今季は34試合登板、3敗6S、防御率5・11。180センチ、78キロ。右投げ右打ち。