プレーバック日刊スポーツ! 過去の11月7日付紙面を振り返ります。2010年の1面(東京版)は、“日本一”シリーズ5時間43分15回ドローでした。

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<日本シリーズ:中日2-2ロッテ>◇第6戦◇2010年11月6日◇ナゴヤドーム

 日本シリーズ史上最長の死闘となった。ロッテが王手をかけて迎えた第6戦は、延長15回2-2で24年ぶりの引き分けに終わった。シリーズ初の延長15回に加え、試合時間5時間43分も最長。これも最多となる両チーム44人が出場した熱戦が終わったのは、最も遅い午後11時54分。対戦成績はロッテの3勝2敗1引き分け。ロッテは今日7日の第7戦に勝てば、5年ぶりの日本一が決まるが、中日が勝つか再び引き分けた場合は、8日にナゴヤドームで第8戦を行う。

 日本一まで、なんと遠いことか。午後11時45分、延長15回、西岡が三振に倒れ、この日のロッテの日本一は消えた。電光掲示板に終電の時間が映し出されるなど、試合終了を待たずに帰る客が出始め、客席がまばらになっていく中、左翼席のロッテファンは一糸乱れぬ応援をしていたが、祈りは通じなかった。

 わずか1点。それが奪えなかった。延長10回と11回、最多安打の西岡と4番サブローに送りバントを命じたが、ともに併殺で倒れるなど、まさかの展開。試合時間は過去最長の5時間43分。イニングも15回まで達し、試合終了の時間はシリーズの試合で、最も遅い午後11時54分。午前0時をまわって会見の場に現れた西村監督が「何時間?」と報道陣に逆質問するほどだった。

 第6戦で決めるつもりだった。試合前、監督は、親交のある「泣き虫先生」こと伏見工ラグビー部総監督の山口良治氏に、日本一を予告していた。「今日、決めます!」と両こぶしを固めながら言い切った。山口氏も「種目は違えども、信は力なり、信は任せること。選手を信じている穏やかな表情をしている」と、ロッテの勝利を信じていた。しかし、あと1歩が届かなかった。

 短期決戦の激闘はナインの体に想像以上の負担をかけている。毎試合、ルーキー離れした活躍で、頼もしさすら感じさせている清田も「シリーズは独特な雰囲気があって、知らないうちに疲れがたまっているみたい。朝、起きると両足がパンパンなんです」と言う。左下の奥歯が欠けるなど、歯を食いしばっての毎日は、充実感もあるが、体には厳しい。早く決着をつけたい理由はそういうところにもあった。「これだけの試合をして、選手は疲れているでしょう。でも、シーズン最後なので、何とか頑張って欲しい」と西村監督は気遣った。

 延長に入ると、中継ぎ陣が10回から5イニング連続で得点圏に走者を背負った。小野が打席にも立ち、2回1/3を投げるなど、懸命のリレーでしのいだ。1点を奪えなかったが、奪われることもなかった。小林宏が最後の打者を一ゴロに抑え、引き分けに持ち込むと、マウンド後方で、勝ち試合のようにハイタッチを交わした。「救援陣が、よく粘ってくれました。明日です。明日、頑張ります。勝ちに等しい? 勝ちに等しいというか、負けませんでしたから」という指揮官の表情も沈んではいない。王手をかけている状況は変わらない。おあずけとなった日本一を1日遅れで奪いにいくだけだ。

 ▼第6戦はロッテ22人、中日22人の合計44人が出場。1チームの出場人数記録は66年第1戦南海、69年第6戦阪急の23人があるが、両軍合計44人はヤクルトとオリックスが対戦した95年第3戦の43人(ヤ22人-オ21人)を抜く最多人数。ロッテ、中日とも7投手が登板し、両軍合計14投手の登板も過去2度あった13人を抜いて最多となった。

※記録と表記は当時のもの