日本シリーズ開幕の前日、マツダスタジアムで行われた監督会議が異例の“紛糾”となった。席上、広島緒方孝市監督(47)が「ファンも楽しみにしているし、どうでしょう」と予告先発を持ちかけた。日本ハム栗山英樹監督(55)が「それでいいです」とすぐに了承。全試合で予告先発することが決まった。

 両監督は会議中に「ジョンソンでいきます」(緒方監督)「うちは大谷で」(栗山監督)と、第1戦の先発投手を明かす展開に。第2戦以降は試合終了後、次戦の先発投手を予告することまで決まった。

 両監督の提案はそこにとどまらなかった。緒方監督から持ちかける形で「予告先発回避のペナルティー撤廃」が議題に上がった。現在の申し合わせでは予告した先発投手にアクシデントが発生し、登板を回避した場合、その投手は回避当日を含み3日間は登板できない。その点について緒方監督は「今日はダメだが明日ならいけるというケースもあり得る。短期決戦でもあり、お互いズルをすることもないでしょうし」と撤廃を持ちかけた。

 これに栗山監督も「例えば黒田がそういう状態になった場合、我々もファンも黒田を見たいわけで、投げられるならそれでいいのでは。球界のためにもいいことだと思う」と賛同した。しかしこの提案にはNPB、審判部から「待った」が掛かった。会議終了後にNPB側で検討した結果「12球団で決めた経緯がある。同意事項通りにやってもらう」と、却下された。

 お互いに選手起用を隠したり、試合に出られないケースを探す策を検討することはあるが、よりオープンに戦おうという提案は異例。引退を決めている広島黒田、二刀流の日本ハム大谷と注目投手がいる球団ならではの監督会議となった。【高原寿夫】

 ◆日本シリーズの予告先発 監督会議で両監督が合意すれば採用し、過去5例ある。横浜権藤、西武東尾と投手出身監督の対戦となった98年横浜-西武戦が最初。「予告先発でいいじゃないか。正々堂々とやろう」(権藤)、「権藤さんがいいと言うならいいよ。面白いことをやろうじゃない」(東尾)と、両監督がほぼ同時に別の場所で提案して実現した。02年の巨人-西武戦は開幕戦の上原-松坂だけ発表。05年阪神-ロッテ戦では阪神岡田監督が提案し、ロッテ・バレンタイン監督も了承。日替わり打線のロッテに有利といわれ、結果はロッテの4勝0敗だった。13年の巨人原、楽天星野、14年の阪神和田、ソフトバンク秋山の各監督も採用に合意した。

 ◆予告先発の変更 両リーグのアグリーメント(申し合わせ事項)によると公式戦の場合(パはCSを含む)、試合当日の公式打順表交換後に変更された投手は、その日を含め3日間、試合に出場することはできない(ただし野手として出場する場合は翌日から出場可能)。