頼もしいタフネス右腕だ。阪神からドラフト2位で指名された富士大・小野泰己投手(4年=折尾愛真)が2日連続で先発。仙台大を7-1で下し、2年ぶり3度目の明治神宮大会(11月11日開幕)出場を決めた。前日の106球に続き、この日142球の力投。9回4安打10奪三振で1失点完投した。最速152キロ右腕が、全国で初の日本一を狙う。

 まだまだ投げられまっせ! 2試合で計16回、248球を投げた。失点は2試合で2点だけ。「鉄腕」小野は疲れを見せずに東北地区代表決定戦を制した余韻に浸った。

 「春に神宮に出てから、ここを目標にやってきた。優勝できて良かった。先発した以上は完投を考えている」。

 前日22日の福島大戦の106球での7回4安打1失点に続く力投。神宮切符を呼び込んだ。

 前夜、同学年の日本ハム大谷が先発した日本シリーズ初戦に、目を奪われた。「来年はプロに行く身として、あそこで投げたいと思った。いい刺激になった。いつかは追いつきたいという気持ちでプロに入りたい」。だからこそ、疲れを言い訳にしなかった。4回にはこの日最速149キロの直球で相手5番から空振り三振。「腕だけじゃなくて、体全体を使って投げられている。延長になってもいけます」。2日連続で視察した阪神葛西スカウトの前で、鉄腕ぶりをアピールした。

 6月の大学選手権2回戦では制球が定まらず本盗まで許し、亜大(東都)に力負けした。屈辱の敗戦を糧に、習得したスローカーブで投球の幅を広げ、課題だった投球リズムのテンポアップに成功した。

 「秋やってきたことを神宮でも出せれば。もちろん優勝目指して、連投でも何でもやります」。

 大学日本一を手土産に、夢舞台に殴り込みをかける。【高橋洋平】

 ◆小野泰己(おの・たいき)1994年(平6)5月30日、福岡・北九州市生まれ。大原小1年から野球を始め、上津役中で軟式野球部に所属。折尾愛真(福岡)ではプロ注目も、3年夏に右膝半月板を損傷。富士大では2年春からリーグ戦に登板し、通算12勝1敗、防御率0・85。今秋は5戦5勝の防御率0・45で最優秀選手賞を獲得。184センチ、75キロ。右投げ右打ち。