マー君を超えろ! 楽天からドラフト1位指名を受けた横浜・藤平尚真投手(18)が7日、横浜市内のホテルで入団交渉に臨み、06~09年に野村元監督がつけて以来となる背番号「19」を託された。球団からはヤンキース田中将大投手(28)に追いつき追い越してほしいという意図を伝えられ、高校生最高条件の契約金1億円、年俸1500万円(推定)で契約合意。1年目の目標を新人王に定め、マー君超えを目指す。

 ビッグな目標が定まった。背番号「19」に込められた思いを受け止めて、藤平の丸い目が輝きだした。

 藤平 偉大な田中さんのような、チームを勝たせられる投手になりたい。よく見ている動画からでも、表情や投球から強い気持ちが伝わってくる。あのオーラを自分も身につけて、少しでも近づき、追い抜けるようになりたいと思います。

 いつの日か、海の向こうの大先輩を超える。緊張で臨んだ交渉の席。長島スカウト部長からは「マー君こと田中投手に追いつき、追い抜いてチームを背負う選手になってほしい」と背番号の意図を説明された。その田中を育てた野村克也元監督以来となる、球団を代表する19番でプロの世界に飛び込む。「よくテレビで見る野村さんの、偉大な番号。ファンの方もそういう目で自分を見ると思う。それに見合った気持ちで練習に臨みます」。「好きな色」という、えんじ色のユニホームに袖を通して、引き締めた。

 田中の背中を追えば、自然と1年目の目標が定まった。「一番近い目標は、新人王です」。田中が07年に11勝7敗で獲得したタイトルをにらんだ。同リーグにはソフトバンク入りする創価大の田中、ロッテへ入団する桜美林大・佐々木らのライバルがいる。それでも「自分の中では負けない自信があります。2人には大学の4年間の経験がありますが、プロでは同じ1年目。入ってからが勝負です」と譲らなかった。高校ビッグ4と呼ばれた同期だけでなく、大学ビッグ3をも超えていく決意がある。

 田中や松井裕と同じ、高卒新人では最高条件での契約となった。「このような大きい金額を見るのは初めてなので…。どう使ったらいいか分かりません。自分に対する期待を感じました」と受け止めた。連戦連勝で「神の子」と呼ばれた先輩を追いかける歩みがここから始まる。【松本岳志】