中日元監督の星野仙一楽天副会長(69)が古巣に苦言だ。8日、東海テレビ「ドラHOTプラス」の年末特番の収録に臨んだ。4年連続Bクラスと低迷する中日について、地域密着していないことを不安視。収録後にもファン離れを危惧する発言を行った。番組は24日午後4時30分から東海テレビで放送される。

 笑っていても言葉は辛辣(しんらつ)だった。東海テレビの年末特番の収録。杉下茂氏、立浪和義氏と球団史を彩る3世代スターで、球団80年の歴史を2時間近く熱く語り合った。

 その最後だった。「燃える男」が、中日に対する愛情ともどかしさをあらわにした。提言を求められると、最近の中日は地域密着ができていないことを憂う発言が飛び出した。ストレートな表現にスタジオは緊張感に包まれた。

 収録後、発言について聞かれると「俺は仙台(楽天)の人だから」と自重しつつも「そろそろ優勝争いしないと本当にファンが離れちゃう。芸事には厳しい地域だからな」と強調した。5年間優勝から離れ、4年連続Bクラス。ついに97年以来の最下位に沈んだ。谷繁監督が途中解任されるなどドタバタで、球団には厳しい意見が寄せられている。観客数だけでは計れないファン離れを第三者の目線で心配した。

 中日を離れて15年。阪神、楽天で監督やフロント幹部を歴任し、中日から距離を置いた。だが、2年前にも別のテレビ局で生出演。中日低迷の原因を語る中で、86年の落合獲得トレードを「今考えれば失敗だった」などと話していた。それに続く地元テレビを通じた苦言だった。

 このオフはV奪回を狙う巨人が大型補強に出た。中日はDeNA山口をめぐる一騎打ちで巨人に敗れ、一方、星野氏の楽天も日本ハム陽岱鋼の争奪戦で敗れた格好だ。現役、監督を通じて打倒巨人をエネルギーに中日を率いてきた男。今年の巨人の動きに「補強は勝手にすればいいよ」と鼻で笑う一方で、古巣へ叱咤(しった)激励した。【柏原誠】