プレーバック日刊スポーツ! 過去の12月23日付紙面を振り返ります。2007年の3面(東京版)は日本ハム・ダルビッシュ有投手の年俸2億円最速到達を報じています。

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 速いのは球だけじゃない。球界史上最速の2億円到達だ! 日本ハム・ダルビッシュ有投手(21)が22日、代理人とともに契約更改交渉に臨み、年俸2億円プラス出来高で一発サインした。7200万円から178%アップ、1億2800万円の大幅増。プロ4年目の2億円到達は、5年目で到達の和田(ソフトバンク)らを抜いて最速。球界のエースは、またも記録を打ち立てて最年少の2億円プレーヤーとなった。

 ダルビッシュの「話していいですよ」という目配せが合図だった。会見で隣に座った代理人の布施裕弁護士が4年目の来季年俸について「額は2億円です」と明言。ダルビッシュはニヤリとしながら「2億円? どう思うもこうも2億円だなと。評価してもらいました」と付け加えた。

 昨年に続いて代理人を務めた布施弁護士と球団側サイドで、これまでメールなどでの下交渉を実施。ダルビッシュ側は「2億円は絶対に譲れなかった」(同弁護士)というスタンスだったが、提示額は“一発回答”だった。島田チーム統轄本部長は「それだけ踏ん張ってくれた。目に見えないところの貢献度が大きかった」と評価した。

 4年目での2億円到達は堂々の球界最速だ。布施弁護士は「誤解を恐れずに言うなら、ダルビッシュ、アメリカに行くなよ、というメッセージが(金額に)込められているのでは」と発言。球団側は「それはない」と否定した。ダルビッシュは1億円プレーヤーを経験することなく、一気に2億台に突入した。

 昨季とは違い、越年せずにサインしたダルビッシュは「何か買いたいと言ったら、すぐにバッシングを受けるので」と周囲を笑わせながら「家族には何か買ってあげたい」とほほ笑んだ。使い道について、発展途上国に対する「水基金」など社会福祉活動や寄付の構想も口にした。

 契約交渉では、金銭面以外に、環境面の整備についての要望を出した。中でも千葉・鎌ケ谷にプールの設置を球団に要求。オリックス清原が合宿所に設置したようなリハビリ用の小型プールで「故障者が1軍から行くこともあるし、僕はどうしても(設置してほしい)というものがある」。球団側は「場所が難しいが考えます」と返答した。投手陣全体を考えたリクエストだった。

 チームの契約交渉はこの日のダルビッシュが最後で、これで52選手が一発サインした。「今年で終わりではないし、来年は新しいチームがスタートする。今年上げてもらった分、倍くらい返せるように頑張りたい」とダルビッシュ。開幕投手、結婚、リーグ連覇、MVP、五輪予選など充実の1年を終える球界のエースが、年俸でも超一流の証を刻んだ。

 ◆ダルビッシュ一問一答

 -契約更改を終えて

 ダルビッシュ 球団にはものすごく評価してもらいました。金額は十分過ぎるほどの額で満足しています。

 -大幅アップで責任感も上がるのでは

 ダルビッシュ 金額が1億円を超えたから責任感を持つとか、そういうことはまったくない。守ってくれた野手の方、スタッフ、裏方さんや、シーズン途中で奥さん(サエコ夫人)がしんどいときに助けてくれた球団の人など、いろいろな人に支えられた年俸です。

 -使い道は

 ダルビッシュ 僕自身、お金に興味があるわけではないので、大きい額を寄付したり、(社会貢献)活動に使ったり、これから考えたい。僕は最低限の生活費だけで十分なので。

 -来季もエース

 ダルビッシュ まだ21(歳)で、しょせん若手なんで、初心を忘れずにずっとやっていこうと思います。エースだとは思っていないし、エースとかはまったく興味がないし、それでやることは変わらない。成績に満足していることはないし、また頑張っていかないといけない。

 ◆イケメン合同トレ

 ダルビッシュが来年1月に、日本代表で仲間だったソフトバンク川崎と合同自主トレを行う可能性を示唆した。未定としながらも「可能性としては、ソフトバンクのショートの人がやろうと言っていたので、ちょっとだけ交ぜてもらおうかなと考えています」と明かした。

 練習場所は明言しなかったが、サエコ夫人の故郷宮崎が濃厚だ。川崎は1月9日まで鹿児島、10〜25日まで宮崎で自主トレを予定。川崎は「宮崎にいるから、来るなら一緒にやるかと話した。奥さんも宮崎ですしね」と話した。実現すれば球界屈指のイケメンコンビの自主トレにもなる。

 ▼来季4年目(22歳)のダルビッシュが史上最速、最年少で年俸2億円に到達した。過去の2億円スピード到達は年数が96年イチロー(オリックス)ら4人の5年目、年齢は同年イチローの23歳が最年少だった。高卒投手の2億円到達では04年松坂(西武)の6年目を2年更新した。

※記録と表記は当時のもの