巨人は20日、OBで通算141勝右腕、加藤初(かとう・はじめ)氏が今月11日午後、直腸がんのため静岡県内の病院で死去していたことを発表した。

<西本聖氏が悼む>

 ショックです。年に1度、伊東キャンプのメンバーが集まり、長嶋さんと食事会を行うのですが、12日に、その「伊東会」があって「はじめさん、お元気にしてますかね?」と、みんなで話をしたばかりでした。口数は決して多くはないのですが、後輩をかわいがってくれる、良き兄貴分でした。

 長嶋監督の1年目、最下位となって、太平洋から来たのが加藤さんでした。優勝を目指して、一緒にプレーした大先輩です。引っ張ってもらったという印象が強いですね。堀内さんに続いて投手陣をまとめてくれた方です。

 「フルハウス」と言われ、3ボールになりながらも粘りの投球で打者を抑える姿から、多くのことを学ばせていただきました。中でも、ずばぬけていたのがけん制でした。

 一塁に遅いボールを続けて投げて走者を安心させておいて、急に速いボールを投げて刺したり。ピンチを未然に防ぐのに、巧みなけん制を武器にしてアウトを奪う。投げるだけではない、けん制の大切さ。打者に加え、走者との駆け引きが、いかに大事なのかを学ばせていただきました。こういうコメントは本当につらい。ゆっくり休んでくださいとしか言いようがありません。(日刊スポーツ評論家)

 ◆けん制メモ 巨人でプレーした76~90年に加藤氏はけん制で走者をアウトにしたけん制刺が19度。2盗塁しか許さなかった83年は、1シーズンでけん制刺を4度も記録。巨人時代の西本のけん制刺は通算11度で、今季の巨人投手陣のけん制刺は田口1度、宮国1度の2度しかない。