右膝の関節炎でキャンプ別メニュー調整を続ける阪神糸井嘉男外野手(35)が7日、当初自身でイメージしていた2月中旬での全体練習合流について「無理ですね」と覚悟を決めた。第2クール初日は下半身のトレーニングを解禁するなど、リハビリは順調に進んでいる。ただ、万が一の状態悪化を防ぐため、球団側は慎重に慎重を期して復帰計画を練っていく。

 糸井は悩ましげな表情を浮かべた。右膝関節炎で別メニュー調整を続け、第2クール初日の練習を終了。全体練習合流の時期について問われた時だ。キャンプイン前日の1月31日には「どれくらいですかね。2月中盤ですかね」とイメージを膨らませていたが、軌道修正を覚悟した。

 糸井 無理ですね。僕、決められないので。

 決して状態が停滞しているわけではない。リハビリは順調だ。この日は下半身のトレーニングを解禁。スクワットなどのメニューを約20分間行った。キャッチボール後は打撃用手袋も装着して計157スイング。立った状態で47スイングし、フォロースルーの際、右足1本に体重を乗せてみる場面もあった。投球、スイングの強度は着々と上がっている。ただ、何より怖いのがオーバーペースによる状態悪化だ。

 FA移籍1年目。想像を絶する注目を浴びながら、糸井本人の気持ちがはやるのは自然な流れといえる。球団は当初から開幕に間に合わせてくれたら問題ないという考えで、リハビリは慎重を期す方針だった。金本監督もキャンプイン前日、糸井が2月中旬に全体練習合流する可能性について「状態がどうなるか。こちらから日にちを指定すると、無理してもいけないし。彼に任せます。彼が言う日にちよりも遅らせてもいいと思う」と話していた。

 本番はもちろんシーズン。今、焦る必要は確かにない。球団関係者の1人は「(2月中旬の合流は)今の状態では難しいと思います」と説明する。そこは“超人”と呼ばれる男。今後は一気に状態が良化すれば、フリー打撃など一部のメニューだけ合流する可能性もある。とはいえ、現実的にはキャンプ終了までに全体練習に合流すれば、開幕に向けて問題は生じにくい。

 練習の動きを見る限り、もしシーズン中ならば試合出場しているレベルの軽傷とみられる。それでもリハビリに万全を期す。V奪回に必要不可欠なピースだから、万が一の有事さえも消し去りにかかる。

<阪神糸井の今キャンプ第1クール>

 ◆1日 右膝関節炎のため「超」別メニュー。球場での歓迎セレモニーに参加し、10分後にはトレーニングウエアに着替え「行ってきま~す!」と、プールトレーニングができる近くの温泉施設へ。球場に戻ると宜野座ドームでバランスボールに座ったままのトス打撃も実施。「(バットは)前から振ってるよ」。

 ◆2日 前日と同様の行動。完全別メニューに「プールのおじいちゃんとおばあちゃんとかしか仲良くなってへん」とジョーク。

 ◆3日 バランスボールに座ってのトス打撃など204スイングを披露し立った状態で強めにスイングも。ただ、状態は何%? の問いに「ニパー!(2%)」。

 ◆4日 元陸上選手で臨時コーチを務める秋本真吾氏から走り方指導を受けた。キャッチボールはキャンプ最長50メートルを投げた。

 ◆5日 ティー打撃ではキャンプ最多の265スイング。第1クールを「充実していました。100点」と表現。