最速152キロの新人右腕は、金本監督との初対決に「緊張しました。変なところに力が入って、思った球がいかなかった」と苦笑い。ブルペンでは全44球を投じ、スライダーにカーブ、フォークと持ち球を確認したが、金本監督に投じた19球は全て直球だった。「そこをしっかりアピールしていこうと思って」。緊張から、ストライクはわずか7球。シュート回転する場面も見られた。だが、見上げた心意気とともに、金本監督の評価は内面に及んだ。

 金本監督 なぜシュートするのか、自分で分かっているのかを聞いたら、分かっていますと。分かっているのといないのとでは、大きな違いだから。ドラフト1位以上の価値はあるよ。

 天井知らずの賛辞にも、小野は「そういっていただけるのは光栄ですが、自信過剰にならないようコツコツやっていきたい」と表情を引き締めた。順調なら、22日の紅白戦にも実戦初登板を迎える見込み。金本監督公認の火の玉ストレートをぶっ放して、先発ローテーション6番手争いに殴り込みをかける。【梶本長之】

 ◆小野泰己(おの・たいき)1994年(平6)5月30日、福岡出身。折尾愛真-富士大。大学4年秋の北東北リーグでベストナイン、最優秀投手賞を獲得。エースとして明治神宮大会に導く。即戦力の期待から、福原コーチの背番号28を受け継ぐ。入団時のアンケートで好きなタレントは本田翼、座右の銘は「夢叶うまで挑戦」と答えた。184センチ、75キロ、右投げ右打ち。推定年俸1200万円。

<小野の今キャンプ>

 ◆回転がいい キャンプ初日からブルペン入り。捕手が立った状態で31球、座って10球。捕手の背後から見た金本監督は「きれいなフォームで回転のいい球」と褒め、小野は「さすがに気になりました」。

 ◆岸になれる 4日にはすべて直球で56球。「10割近い力で投げ込みました」と汗をふいた小野に、金本監督は「ドラ1ぐらいの評価は十分にある。岸? あのようになってくれたら」と楽天岸を引き合いに。

 ◆中心になれる 5日に4度目のブルペン。これまでと同じく直球のみ76球。「次のクールから変化球やクイックも」と見通しを語った。金本監督は、大山とともに「体力をつけて経験を積めば、中心選手になってくれそう」と期待。

 ◆変化球解禁 7日にフォーク、カーブ、スライダーを交え最多の100球を投げた。「まだ引っかかるけど、クイックは違和感なくできた」と満足げ。