プレーバック日刊スポーツ! 過去の3月27日付紙面を振り返ります。2012年の1面(東京版)はイチ抑え岩隈打ち 原咲く打線15安打9点 花冷え脱出あと3日で満開を報じています。

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<日米親善試合:巨人9-3マリナーズ>◇2012年3月26日◇東京ドーム

 どん底から一転、巨人打線が一気の八分咲きだ。26日、開幕前最後の試合となったマリナーズとの親善試合(東京ドーム)で打線が爆発した。凱旋(がいせん)登板の先発、岩隈久志投手(30)を10安打6得点と打ち込んだ。本塁打に小技も絡み、オープン戦最多となる9得点を奪い大勝した。原辰徳監督(53)は「貧打巨人軍」「まだ、花が咲いていない」と嘆いていたが杞憂(きゆう)に終わりそう。30日、ヤクルトとの開幕戦(東京ドーム)で一気に満開といく。

 巨人打線に、ようやく春の足音が聞こえてきた。ここ2試合で計3安打だった打線が、毎回安打の15安打9得点。凱旋登板のマリナーズ岩隈も10安打6得点で4回でKOした。ここ最近の貧打に「まだ花が咲いていない状況で。いつ開花するか」と季節感たっぷりの例えで心境を吐露していた原監督も「本来の打撃を、今年初めて見ました。花冷えという言葉が出て、花が咲いていないという表現も使いましたけど、30日には三分ぐらいの花が咲く気がします」と、うれしそうに語った。

 開花を促したのは、巨人らしい1発だった。初回、ボウカーが右翼席へソロ本塁打を放って「0行進」が21イニングでストップ。「チームにいい流れを作ることができて良かった。打線の調子も上がってよかった」と胸を張るように、これが起爆剤となって、2回からお祭り騒ぎのヒットパレードが始まった。あれほど出なかった安打が、次々に飛び出した。

 卓越した個の力が爆発しただけでなく、ベンチワークもつながった。3回には無死一、二塁で、昨季首位打者の3番長野が犠打に成功。岡崎ヘッドが「是が非でも得点が欲しいとき」と話す主力の犠打を、5番村田がものにした。6回には一塁走者村田が盗塁を仕掛け、捕手が二塁送球するとみるや、走塁のスペシャリスト鈴木が三塁からディレード気味に本塁を陥れた。「本来の巨人の野球と理解していただけたら、幸いです」と原監督。主導権を握って得点する、理想的な「予行演習」まで決めた。

 大技小技を織り交ぜての大勝で、本番前ラストゲームを終えた。次戦は30日、いよいよヤクルトとの開幕戦(東京ドーム)だ。原監督は「良い形でスタートができそう。いいメンバーで、2012年度は戦うことができると思っています。いいスタートを切りたいと思っています」と力強い言葉で会見を締めくくった。

 今年、関東地方では12年ぶりに吹かなかった「春一番」だが、この日、巨人打線にはしっかりと“観測”された。三分咲きなんて、控えめにはいかない。“クマ”退治で芽吹いた巨人打線が、ツバメ撃破でロケットスタートを決め、一気に満開といく。

※記録と表記は当時のもの