プレーバック日刊スポーツ! 過去の3月18日付紙面を振り返ります。1995年の1面(東京版)は東京六大学野球に史上初の女性選手が誕生へ、でした。ハーラーはその後、9月19日の東大2回戦でリーグ戦デビュー。先発して1回2/3を投げ、打者11人に対し5四死球を与えましたが、無安打無失点に抑えました。

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 70年の歴史を誇る東京六大学野球に史上初の女性選手が誕生する。同リーグでプレーするため、明大入学を希望していたジョディ・ハーラー投手(22=米ペンシルベニア州シッペンスバーグ州立大卒)が17日、明治大学短期大学経済学科に合格、今春リーグ戦への出場が可能になった。早ければ4月16日の東大戦にもマウンドに立つ。同日夕、東京・調布市の明大野球部合宿所で会見したハーラーは「希望がかなってうれしい。精いっぱい、自分の力を試してみたい」と抱負を語った。

 「ハジメマシテ。ジョディ・ハーラーデス。ドウゾヨロシクオネガイシマス」。りゅうちょうな日本語のあいさつで始まった記者会見のあと、「背番号36」のユニホームにそでを通したハーラーはうれしそうに笑った。

 短大合格は、4月16日の東大2回戦での公式戦デビューへの大きな一歩だ。別府隆彦監督(68)は「東大さんから予告先発で投げさせてほしい、と言われているんですよ」と話した。昨年11月、東大野球部の河野通方(みちかた)部長(50)から「お客さんの大勢入る日曜日の2戦目はいかがでしょう」と懇願されている。「そういうことになったら面白いね」。別府監督は東京六大学に新たな歴史を刻む登板が十分、あり得ることをにおわせた。

 小柄な左腕だが、制球力はいい。直球は110キロが精彩な変化球を持つ。昨年11月の紅白戦では3回を投げ3安打1失点。レギュラーで固めた中軸を無安打に抑えている。

 クリスマス休暇で帰国していた昨年暮れ、走り込みすぎて左スネを疲労骨折した。これも2月24日の再来日後、定期的にチームドクターの診察を受け、回復は順調だ。3月5日には40球の投球練習も再開している。別府監督は「まだバリバリの戦力にはならない」としながらも、「初めて来日した時より体がスリムになって、球のスピードも出てきた。投げれば面白いよね」と、期待を寄せた。20日に正式に部員登録し、25日からのハワイ遠征にも連れて行く。

 昨年5月末に米ペンシルベニア州カーシーから初来日。当初の3年編入の予定は英語での受験が認められず、一時は入学をあきらめた。そこで「いったん短大に進み、2年後には4年制に入るという計画」(別府監督)に変更。週5回、日本語学校に通い猛特訓した。16日の短大の転入学試験は、日本語と「あなたの人生の転機について」という論文(英語)と日本語能力テスト、面接。この日会見した明治短大・金子邦彦学長(48)は「すべてA評価でした。非常に勉強熱心なことがうかがえた」と話した。

 別府監督は「何事にも真剣に取り組む姿勢が、他の部員にもいい刺激になるでしょう」と、精神的なプラス面も強調する。

 伝統の中に新たに刻まれる歴史。神宮初登板が待ち遠しい。

<日本球界の女子選手>

 ▼大学野球 昨年4月に東京六大学野球連盟、東都大学野球連盟の各理事会で「女子学生の部員登録」が認められ、出場を正式承認した。

 ▼高校野球 日本高野連は公式戦の女子選手出場を認めていない。女子マネも甲子園大会ではベンチ入りはできない。しかし、女子マネのベンチ入りは、地方大会では各都道府県連盟の判断にゆだねられており、可能になっているところが増えている。

 ▼社会人野球 航空自衛隊千歳(北海道千歳市)の明石波恵左翼手(28)が、昨秋の日本選手権北海道予選で公式戦デビューを果たした。

※記録と表記は当時のもの