八王子が鮮やかな速攻で勝負を決めた。

 1回、2死から3番深松結太主将(3年)の左前安打を左翼手が後逸する間に三塁に進み、そこから3連打で2点を先制。2回には1死後、9番谷藤大二郎(3年)から3連打で1点を追加して流れをつかんだ。

 守っては、先発の木上玲伸(3年)が182センチの長身から投げ下ろす速球とフォークを主体に、打線好調の上尾を6回の1安打(三塁打)1本に抑える1失点完投で決勝戦に進んだ。

 ヒーローになった木上はこの春からベンチ入りした。「まだ経験不足でコントロールを心配したが最高の出来だった」と、和田義盛監督がほめた。6回2死までノーヒットノーランを記録していたが「まったく知りませんでした」と、夢中で投げたのが功を奏した。持ち味は大きな手と長い指。「一番得意なのはフォークです」というように、長い指で挟んで上尾打線を手玉に取った。「せっかく決勝に行くので全国制覇したい。自分としては、夏も勝てるようにしっかりトレーニングしていく」と、自信をつけた様子だ。和田監督は「去年の成績を超えてよかった。佐倉さんとは以前はよく練習試合をやったのですが、それほど負けなかったので相性はいいはずなんです」と初優勝を目指す。