プロ野球は31日にセ、パ両リーグで6試合が行われ開幕する。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で侍ジャパンの4番を務めたDeNA筒香嘉智外野手(25)は、好調を維持したままヤクルト戦に臨む。歴代の侍4番は、前年より打撃成績を落とす傾向があったが、筒香はそんなジンクスを打ち破り、98年以来の日本一へとけん引する。

 決意の表れが、オールドスタイルの足もとに詰まっていた。夕暮れ間近の神宮。DeNA筒香はただ1人、ユニホーム姿でウオーミングアップを行った。ズボンの裾をまくり上げ、青いストッキングを見せた。「寒いから」とけむに巻いたが、動きやすくするために今季から取り入れる意向だ。「ベイスターズが優勝するためにいいチームになった」と自信をみなぎらせた。

 まずは侍の4番として、負の連鎖を断ち切る。これまでWBCに出場した侍ジャパンの4番は、前年から成績を落とす傾向にあった。第1回大会(06年)の松中、第2回大会(09年)の村田、第3回大会(13年)の阿部。シーズン前から極度のプレッシャーにさらされ、蓄積疲労からか数字を残すことができなかった。

 筒香の強い気持ちは、さまざまな不安要素をも吹き飛ばす。帰国してから常々口にしていることがある。「ペナントレースもWBCも1つの試合ということに変わりはないし、僕の中でどっちが大事というのはない」。昨季は本塁打と打点の2冠に輝き、今季は3冠王が期待される。その好調ぶりは快音が物語る。ナイター練習でのフリー打撃では17本の柵越え。バックスクリーン直撃音が鳴り響いた。全体が終わっても居残りで再び打席に立って合計31本をスタンドへ運んだ。

 不動の4番としてだけでなく、主将としてもチーム全体を見渡す。練習前、クラブハウスで全員に呼びかけた。1人1人が責任感と自覚を持って行動すれば、チームは勝てる。成長を強く感じているからこそ開幕前に伝えた。「昨季勝つ喜びを初めて味わった選手もいると思う。勝つことでファンがどれだけ応援してくれるか気づいた選手もいると思う。だから優勝するために全員で戦う」。筒香が引っ張るDeNAが歴史を塗り替える。【栗田成芳】