BCリーグ新潟の中継ぎ左腕がドラフト候補としてアピールした。新潟は6-9で武蔵に敗れた。12安打9失点と乱れた投手陣の中で、4番手で登板した横手の左腕・渡辺雄大(25)が1回1/3を無安打3奪三振の無失点に抑えた。4年目の今季は開幕から5試合通算6回1/3で防御率0・00と、抜群の安定感を誇る。今秋のドラフト指名を目標に、着実に実績を残している。

 劣勢の中でのマウンドも渡辺雄は冷静だった。「点差は関係ない。目の前の打者を抑えるだけ」。7回表2死二塁で登板すると、武蔵の1番打者・山川隆介(23)を空振り三振に切って取る。それを皮切りに8回2死まで3者連続三振。最後の打者は二ゴロに打ち取った。「最後も三振を狙っていたんですけど。まあ仕方ないです」。

 今季5試合目の登板で、この日も無失点。防御率は0・00だ。通算6回1/3で被安打1、奪三振は10の無四死球。この日対戦した打者4人のうち左は3人。唯一の右打者の青木隆一郎(22)は、外角低めの直球で空振り三振に仕留めた。

 「右打者も抑えられたことは収穫」と言う。昨季は左打者専門の中継ぎだった。オフにオーストラリアのウインターリーグに参加した。右打者とも多く対戦し、駆け引きとツーシームを習得。それが武器になっている。

 26歳になる今季は「NPB入りに向けて勝負の年」と位置付けている。キャンプ中、加藤博人監督(47)から「今季は50、60試合は投げてもらうぞ」と言われた。プロで活躍する中継ぎはそのくらいはノルマ、という激励だ。それを受け止め、今季は自宅で毎日4、5時間のストレッチ。体調を万全にしている。

 スタンドには阪神の吉野誠スカウトが視察に訪れていた。視線は意識するが、「見ていても見ていなくても、内容を残すだけ」。淡々と着実にアピールする。【斎藤慎一郎】