<進化2>縦のツーシーム 決め球となる変化球をシーズン前に改良した。畝投手コーチは証言する。「これまでは曲げようとし過ぎて不安定だったが、直球と同じように腕を振る意識にしたことで球速が上がり、切れも出るようになった」。人さし指と中指で挟むため「(縦に落ちる)フォークのように使える」と畝コーチ。さらに井生スコアラーは「(握りを変えることで)球速や落差に幅があり、右打者の内角にも投げ込める」と続ける。投球の幅はグッと広がった。

 <進化3>高速カッター 決め球を最大限に生かすのは高速のカットボールだ。井生スコアラーは「とにかく速い」と目を丸くする。最速147キロを計測。「あの速い真っすぐとそれほど球速差のないカットボールが食い込んでくるんだから打者は嫌。他球団スコアラーも警戒している」。すでに他球団にとっても、薮田攻略は重要課題になっている。

 亜大4年で公式戦わずか2試合登板から、今季は自己最多はもちろん、球団記録を狙えるペースで登板する。「誰よりも多く投げたいと思っている。投げられるのは楽しいです」と表情は明るい。薮田はまだまだ投げ続ける。そしてまだまだ進化していく。【取材・構成=前原淳】