東北楽天(宮城)が秋田北(秋田)を4-1で破り、初の春王者に輝いた。1-1と同点の3回途中から2番手で登板した背番号3の難波龍世(3年)が4回無失点と好投。4回には自ら勝ち越しの中越え三塁打を放つなど、勝利に貢献した。チームは昨秋に続き、東北大会2連覇。創設3年目にして、東北の全チームから追われる立場になった。6月に宮城県内で行われる日本選手権東北大会で3大会連続Vを狙う。

 難波がチームを救った。同点の3回裏、無死一、三塁のピンチで登板。自慢の直球で1人目の打者を投ゴロ、次打者はスクイズ失敗の投飛、併殺でピンチを切り抜けた。直後の4回表の攻撃では、1死三塁でセンター頭上を大きく越える勝ち越し三塁打。中3で早くも179センチ、84キロの巨体で三塁へ滑り込むと、中浜裕之監督(39)が「体は大きいがおとなしい」と話す難波が、気迫を前面に出して雄たけびを上げた。

 本来は5番打者、抑え投手を務める投打の軸。しかし、先発した前日13日の準決勝・盛岡姫神戦で3回2失点で降板した。「情けないピッチング」と振り返る内容で一時逆転を許し、さらに試合後のミーティングで走塁面での意識の低さを指摘され、決勝はベンチスタートとなった。

 「悔しかった。(決勝の三塁打は)クリーンアップを張っていた意地があった」という。難波を外し、代わりに2年生の中川泰雅を先発メンバーに入れた中浜監督は「3年生に刺激を与えたかった。何くそ、という気持ちを持ってもらいたかった」と説明。同監督は「今日は気迫を出してプレーしてくれた」と、笑顔で難波をたたえた。

 これで昨秋の東北大会に続き、春も制覇。夏の日本選手権東北大会(6月17日開幕、宮城)では、各チームが「打倒楽天」で挑んでくる。中浜監督は「おとなしい選手が多かったが、少しずつ気持ちを前面に出せるようになってきた。プレッシャーはもちろんあるが、そこに勝つことで強くなる」と意気込む。初出場した春の全国選抜大会では優勝した佐倉シニア(千葉)に敗退。目標の日本一へ、楽天シニアが集大成の夏に挑む。【林野智】